本記事では、埼玉県教員採用試験に関する下記の内容をまとめています。
- 令和6年度埼玉県教員採用試験の概要
- 埼玉県教員採用試験の実施状況
- 埼玉県教員採用試験の内容・傾向
試験対策を効率よくできるかどうかは、内容や傾向をどれだけ理解しているかが重要です。
埼玉県教員採用試験について網羅的に理解できますので、ぜひご一読ください。
その他、教員採用試験の内容は下記記事でまとめています。

埼玉県教員採用試験の概要
埼玉県教員採用試験とは、埼玉県内の公立学校で働く正規教員を決める公務員試験のひとつです。
ここでは、令和6年度(2023年実施)埼玉県教員採用試験の概要を紹介します。
主な変更点
令和6年度採用(2023年実施)では、以下の変更点や追加があります。
- 試験実施教科(科目)
-
【高等学校等教員】「建築」は実施し ない 。
- 出願資格
-
【高等学校等教員】「情報」において、情報以外の教科(科目)の高等学校教諭普通免許状の所有(又は取得見込み)を不要とする 。
- 臨時的任用教員経験者特別選考A選考
-
教職歴要件に、「さいたま市立学校」での経験を追加 。
- セカンドキャリア特別選考の新設
-
通算して5年以上の民間企業等での本採用経験を有する者に対して特別選考を実施。
- 出願 手続
-
全ての志願区分において、インターネット出願のみとする。
求める教師像
埼玉県が求める教師像は以下のとおりです。
- 健康で、明るく、人間性豊かな教師
- 教育に対する情熱と使命感をもつ教師
- 幅広い教養と専門的な知識・技能を備えた教師

「このような人物が欲しい!」という教育委員会からのメッセージです。今までの経験や体験からアピールできるような内容を準備しましょう。
受験資格(年齢制限)
以下の1から3の全てを満たしていることが条件となります。
募集教科と採用人数
令和6年度(2023年実施)に採用を予定している校種・教科と人数は以下のとおりです。
校種 | 教科 | R6 | R5 |
---|---|---|---|
小学校 | 700 | 850 | |
中学校 | 国語、社会、数学、理科、音楽、 美術、保健体育、技術、家庭、英語 | 450 | 480 |
高等学校 | 国語、地理歴史、公民、数学、理科、保健体育、音楽、美術工芸、書道、 英語、農業、電気、機械、デザイン、情報技術、土木、工業化学系、 福祉、商業、看護、家庭、情報 | 300 | 330 |
特別支援 | 特別支援教育、自立活動 | 200 | 200 |
養護教諭 | 45 | 55 | |
栄養教諭 | 10 | 12 |



昨年に比べると、全体で222人減る見込みです。
・令和6年度:1,705人
・令和5年度:1,927人
選考スケジュール
令和6年度(2023年実施)募集要項の発表から最終合格までのスケジュールは以下のとおりです。
3月下旬に募集要項の発表。
4月上旬から出願(申込受付)がスタート。
*令和5年4月3日(月)~5月9日(火)
6月下旬に受験票が発行される。
7月上旬に一次試験を実施。
*令和5年7月9日(日)
7月下旬に一次試験の合格発表。
*令和5年7月28日(金)
一次試験の合格者を対象として、8月中旬に二次試験を実施。
*令和5年8月6日(日)~9月3日(日)
9月下旬に最終合格者の発表。
詳細な日程や併願などの情報はこちらの記事でまとめています。


埼玉県教員採用試験の実施状況
ここでは、過去5年間の実施状況をまとめています。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
令和5年度 | 5,391 | 1,955 | 2.8 |
令和4年度 | 5,860 | 1,924 | 3.0 |
令和3年度 | 6,107 | 1,629 | 3.7 |
令和2年度 | 6,512 | 1,641 | 4.0 |
平成31年度 | 7,061 | 1,640 | 4.3 |
なお、校種・教科ごとの詳細は以下の記事でまとめています。


埼玉県教員採用試験の内容
ここでは、埼玉県教員採用試験の傾向を試験ごとにまとめています。
それぞれ順番に解説するので、参考にしてください。
一般教養・教職科目
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 44問 |
出題形式 | 穴埋め問題、正誤問題 |
解答方法 | 択一式(マークシート) |
配点 | 100点満点 |
一般教養・教職科目とは、教員として必要な基礎能力や一般教養が、どれくらい備わっているかを測る筆記試験のことです。
制限時間60分で、44問に解答します。
出題形式は、空欄に当てはまる語句の組み合わせを答える「穴埋め問題」がベーシックです。
配点は1問あたり2~3点で採点され、100点満点です。
試験科目(出題範囲)
- 教育原理
- 教育法規
- 人文科学(国語、英語)
- 社会科学(歴史、政経)
- 自然科学(数学、理科)
その他、教育時事(学校教育の変化や教育関連のニュース)に関する出題もあります。
そのため、文部科学省のホームページを見たり、新聞を読んだりして、普段の生活から情報収集をしておきましょう。
出題範囲は広いので、どの分野が多くでるのか、どの分野は苦手なのかなど出題傾向を理解したうえで勉強することがポイントです。
なお、出題傾向や勉強方法は以下の記事でまとめています。参考にしてください。


専門教科・科目
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
専門教科とは、志望する校種・科目の専門知識や学習指導要領の理解度を測る筆記試験のことです。指導教科の専門性を問われるので問題レベルが高く、多くの勉強時間が必要という特徴があります。



だいたい、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験で問われるレベルの問題が6割以上を占めています。
まずは志望する校種・教科の過去問を解いてみて、現在の実力を確認してみてください。そうしないと、何から対策すればいいか判断できません。
現在の得点から以下のように勉強プランを考えてみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
専門教科を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、手厚く勉強することが大事です。
小論文
試験時間 | 60分 |
---|---|
文字数 | 800字 |
問題数 | 1題 |
出題形式 | 教育課題等に関する内容 |
配点 | 50点満点 |
小論文とは、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験のことです。筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
試験時間は全校種共通で60分、文字数は800字です。
テーマ例
小論文のテーマは校種によって違いますが、どちらも教育課題に関する内容になっています。
埼玉県では、「第3期教育振興基本計画」において、目標のひとつに「豊かな心の育成」を掲げています。なぜ今「豊かな心の育成」が必要であると考えますか。理由を述べなさい。また、あなたは教師として、子供たちの「豊かな心」を育むために、日々どのような研鑽を積み、どのような教育実践を重ねていきますか。具体的に述べなさい。
評価は以下の観点に沿って行われ、最終的に50点満点で評価。
- 論題の理解
- 教育実践についての自分の考え
- 構成・表現等
試験官の主観による要素も含まれるため、丁寧に、きれいに書くことが大切です。
小論文は、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
毎年、小論文で評価がもらえずに不合格となる受験者は多いので早めに準備をしてください。
過去のテーマや対策方法はこちらの記事でまとめています。


集団面接
試験時間 | 30分 |
---|---|
受験人数 | 5人程度 |
面接官 | 3人 |
集団面接は、複数の受験者が一つのグループとなり、同時に面接を受ける形式です。1グループの人数は5人で、全体を通して30分程度で行われます。
集団面接では、同じ質問を受験者に問い、回答させることで受験者の能力や性格を多角的に分析することができます。また、個人面接とは違い相対評価になってしまう点にも注意が必要です。
質問例
- 受験番号と名前を言ってください。
- 自己PRを30秒間でしてください。
- どんな教員になりたいですか。
- 短所は何ですか。
- 理想の教員像とそれを実現するために努力していること
- 最初の授業における冒頭部分を1分間でやってみてください。
- 新人教師に期待されることは何だと思いますか。
面接官の質問に回答するときは、他の受験者のことも考えて端的に行うことが求められます。アピールしたいからといって、長々と話さないようにしましょう。
また、自分の発言だけに全集中するのではなく、他の受験者の意見を聞くことや自分の意見が他の受験者にどのように受け止められたのかなど、周りの状況にも注視することが大切です。
なお、集団面接で聞かれた質問などはこちらの記事を参考にしてください。


実技試験
実技試験とは、教科・科目に関する実践力を備えているのか評価する試験です。
対象校種・教科は以下のとおり。
中学校 | 理科 | ・観察、実験の技能に関すること。 ・観察、実験の安全指導に関すること。 |
---|---|---|
音楽 | 弾き歌い及び場面指導:「大地讃頌」の当日指定された箇所を弾き歌いし、その箇所について授業を想定した場面指導を行う。 | |
美術 | 絵画:平面及び立体(課題は当日指定) | |
保健体育 | ①マット運動 ②跳び箱運動 ③ハードル走 ④走り高跳び ⑤バスケットボール ⑥バレーボール ⑦柔道 ⑧剣道 ⑨創作ダンス:テーマは「自然現象」とする。 ⑩現代的なリズムのダンス:曲は「第 1 0 回全国小・中学生リズムダンスふれあいコンクール自由振付曲『Mela! 』 | |
技術 | 次の①~④の中から当日指定された課題についての実技 ①「A材料と加工の技術」に関すること ②「B生物育成の技術」に関すること ③「Cエネルギー変換の技術」に関すること ④「D情報の技術」に関すること | |
家庭 | ①布を用いた製作:手縫い及びミシン縫い等 ②日常食の調理:基本的な調理操作及び食品の衛生的な扱い方等 | |
英語 | ・英文の音読:与えられた英文を範読する。 ・英問英答:音読した英文の内容や英語指導に関する質問に英語で答える。 ・英語による場面指導:与えられたテーマに沿って、英語による場面指導を行う。 | |
高等学校 | 保健体育 | ・器械運動:マット運動 ・陸上競技:ハードル走 ・球技:ソフトボール ・武道:剣道 ・ダンス:創作ダンス(即興表現) |
音楽 | ・自由曲の演奏 ・弾き歌い:「Caro mio ben」「春への憧れ」「小さな空」「この道」から指定された1曲。 | |
美術工芸 | ・絵画作成 ・ポートフォリオの提出 | |
書道 | ・漢字の書の臨書 ・仮名の書の臨書 ・漢字の書の創作 ・仮名の書の創作 ・漢字仮名交じりの書の創作 ・漢字又は仮名の書の創作 ・硬筆 | |
英語 | 英語による個人面接 |
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
個人面接
試験時間 | 25分 |
---|---|
面接官 | 2人 |
形式 | 個人面接+場面指導 |
個人面接とは、志望動機や自己アピールなどを問うことで、あなたが埼玉県の教師として相応しいかどうかを評価・判断する人物試験のことです。
試験時間は25分程度で、事前に提出する志願書にそって、自己PRや志望動機などを問われます。また、場面指導も行われていますよ(小中養栄のみ)。
質問例
- あなたの強みをいってください。
- 教師になるうえで、足りないことはありますか。
- 誰にも負けないことはありますか。
- 大学時代に頑張ったことはなんですか。
- 教員を志望した理由を言ってください。
- なぜ埼玉県を志望したのですか。
- 埼玉県教育長は誰ですか。
個人面接は1人の受験者に対して、集中してチェックできるため、面接官は様々な観点から評価することができます。
また、集団面接とは違い、受験者は自分一人だけなので緊張しやすい形式ですが、他の受験者がいないことから集中でき、自分をアピールしやすいという利点があります。
面接を苦手とする人は多いです。しかし、合格するには避けては通れません。
面接練習をすることで、
- 自分の長所や短所
- なぜ教員になりたいのか
- 教員になって何がしたいのか
といった部分を改めて確認できます。自分と向き合う良い機会なので、時間をかけてじっくり取り組んでいきましょう。
過去の質問や対策方法はこちらの記事で詳しく解説しています。


集団討論
試験時間 | 40分 |
---|---|
受験人数 | 8人 |
面接官 | 3人 |
複数人の受験者同士が1つのグループになり、与えられたテーマにそって討論する(話し合う)試験です。
テーマ例
集団討論では、自分の意見を言い、他の受験者の意見を受け入れ、それらを組み合わせて最適な解決策を見つけることが求められます。また、発言した順番や回数が重視されるわけではなく、コミュニケーション能力や貢献度といった、全体が評価対象です。
そのため、自分一人だけが目立つのではなく、周りのメンバーと協力する姿勢で臨みましょう。過去の出題テーマなどはこちらの記事を参考にしてください。


埼玉県教員採用試験でよくある質問FAQ
最後に、埼玉県教員採用試験でよくある質問に回答します。
- 過去問について
- 合格ラインについて
過去問について
埼玉県教員採用試験の問題及び正答・配点等は、『埼玉県県政情報センター』で閲覧及びコピーできます。
問題と解答のみで解説はありませんが、出題レベルや形式把握には十分活用できるでしょう。なお、解説が欲しいなら、協同出版の書籍「埼玉県の教員採用試験「過去問」シリーズ」がオススメです。


以下の記事でも詳しく過去問の入手方法をまとめているので確認してみてください。


合格ラインについて
埼玉県教員採用試験の合格ラインは公表されていませんが、過去の受験者データから教職6割、専門7割〜8割がひとつの目安になります。
もちろん、校種や教科によって差はありますし、競争試験なので変動する点は注意が必要です。
なお、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。


埼玉県教員採用試験の対策を始めよう
教員採用試験に合格するのは簡単ではありませんが、きちんと対策すれば受かることは十分可能な試験です。出題傾向を把握して、効率よく勉強を始めましょう。
本サイトでは、埼玉県教員採用試験に関する有益情報を多く発信しています。ぜひ、参考にして合格に少しでも近づいてください。
今回は以上です。
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