埼玉県教員採用試験の二次選考で行われる小論文。
「文章を書く試験でしょ?」と何となく内容を想像するけど、イマイチどんな試験なのか把握できていないのではないでしょうか。
そこで本記事では、これから埼玉県教員採用試験の小論文対策を始める方向けに、過去の出題テーマや傾向を紹介します。評価を上げるコツも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
埼玉県教員採用試験 小論文の傾向
埼玉県教員採用試験の小論文は、テーマに沿って自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。筆記試験(一般教養や専門教科)では判断できない、論理的思考力や読解力、人間性などを総合的に測ることを目的としています。
ここでは、小論文の傾向を3つ解説します。
- 教育課題に関する内容
- 試験時間と文字数
- 15点以下で足切り
教育課題に関する内容
埼玉県教員採用試験の小論文の出題形式は、教育課題に関して自分の考えや主張を論述する内容です。
埼玉県では、「第3期教育振興基本計画」において、目標のひとつに「豊かな心の育成」を掲げています。なぜ今「豊かな心の育成」が必要であると考えますか。理由を述べなさい。また、あなたは教師として、子供たちの「豊かな心」を育むために、日々どのような研鑽を積み、どのような教育実践を重ねていきますか。具体的に述べなさい。
与えられたテーマをしっかりと理解し、自分の意見を論理的かつ具体的に展開することが求められます。文章の構成や表現に工夫を凝らし、誤字や脱字を避けることも重要です。
試験時間と文字数
試験時間 | 60分 |
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文字数 | 800字 |
制限時間内で文章を適切に構成し、要点を明確に伝えることが重要です。また、普段から時間配分を意識して書く練習をしてください。

僕なら、テーマの把握と見直しに5分ずつ、その他の時間を執筆にあてます!
何文字書く?
結論、9割以上書きましょう。上限が800字なので720字程度です。
文字数は誰が見ても一発でわかる評価基準なので、極端に文字数が少ないと減点もしくは採点不可の判定を受けることになるんですよね。



6割も埋められていないと厳しいですね。
知識や語彙が乏しいと多くの文字を書くのは難しいので、普段から語彙力も増やしておくといいでしょう。
15点以下で足切り
埼玉県教員採用試験の小論文は以下の観点に沿って評価します。
- 論題の理解等
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論題に正対しているか。
- 教育実践についての自分の考え等
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- 主張が明確で、論理性を備えているか。
- 教師としての教育実践について具体的に表現しているか。
- 教師としての教育実践について具体的に表現しているか。
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- 用語、表記は適切か
- 全体のまとまりはあるか。
- 字数は適切か。
最終的に50点満点で採点しますが、著しく点数が低いと(恐らく15点以下)即不合格です。



足切りラインは非公開ですが、他自治体のデータから3割だと推測できます。
評価が悪くなる理由としては、テーマの把握ができていなかったり、文字数が6割以下だったりすることが挙げられます。また、字が汚い(丁寧であればOK)、誤字脱字が多いっていうのもよくないですね。
以上の傾向を理解してから、小論文対策を始めてみましょう。
埼玉県教員採用試験 小論文の過去問テーマ
ここでは埼玉県教員採用試験の論文で出題された過去問をまとめています。問題は校種によってわかれているので、該当する問題を見て内容を確認しましょう。
令和5年度(2022年実施)
小・中学校等
埼玉県では、「第3期教育振興基本計画」において、目標のひとつに「豊かな心の育成」を掲げています。なぜ今「豊かな心の育成」が必要であると考えますか。理由を述べなさい。また、あなたは教師として、子供たちの「豊かな心」を育むために、日々どのような研鑽を積み、どのような教育実践を重ねていきますか。具体的に述べなさい。
高校・特別支援学校
障害のある子供や外国人児童生徒等の増加、家庭を取り巻く環境の変化等に伴い、教育をめぐるニーズが多様化していることを受け、埼玉県では誰一人取り残すことのない教育の実践を目指しています。あなたは、「誰一人取り残すことのない教育」をどのようにとらえますか。あなたの考えを述べなさい。また、これを踏まえ、あなたは一人の教員としてどのように教育活動に取り組んでいきますか。具体的に述べなさい。
令和4年度(2021年実施)
小・中学校等
埼玉県教育委員会が求める教師像3つの中の1つに「健康で、明るく、人間性豊かな教師」があります。あなたは、このことをどのように捉えますか。あなたの考えを述べなさい。また、あなたは「健康で、明るく、人間性豊かな教師」であるために、日々、どのような努力をし、どのような教育実践をしていきますか。具体的に述べなさい。
高校・特別支援学校
埼玉県教育委員会では、令和3年2月に埼玉県教職員MOTTO(モットー)「未来を創る、こどもたち。 未来を育てる、わたしたち。 ~未来への責任~」を策定しました。あなたは、この埼玉県教職員MOTTO(モットー)をどのようにとらえますか。あなたの考えを述べなさい。また、そのことを踏まえ、あなたは教員としてどのように教育活動に取り組んでいきますか。具体的に述べなさい。
令和3年度(2020年実施)
小・中学校等
現在、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会は大きく、また急速に変化しており、予測が困難な時代を迎えています。あなたは、このような時代を生き抜いていく子供たちに育成すべき資質・能力とはどのようなものだと考えますか。一つ挙げて、理由もあわせて述べなさい。また、あなたは教員として、子供たちにその資質・能力を育成するために、学校教育の中でどのような実践をしますか。具体的に述べなさい。
高校・特別支援学校
児童生徒の確かな学力や豊かな心、健やかな体を育成していくためには、学校教育の質の向上を図ることが不可欠であり、その担い手となる教員の資質・能力の向上を積極的に図っていくことが求められています。このような中で、新しい学習指導要領では、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善が示されています。その実現のために、教員にはどのような「授業力」が求められているでしょうか。あなたの考えを述べなさい。また、あなたは教員としてどのように取り組んでいきますか。具体的に述べなさい。
令和2年度(2019年実施)
小・中学校等
埼玉県では、「第3期埼玉県教育振興基本計画」において、目標のひとつに「質の高い学校教育のための環境の充実」を掲げ、教員の資質・能力の向上を図る取組を推進しています。あなたは、これからの時代を生き抜く子供たちを育成するために教員に求められる資質・能力とはどのようなものだと考えますか。理由もあわせて述べなさい。また、あなたは教員として自らの資質・能力を高めるために、どのような実践をしていきますか。具体的に述べなさい。
高校・特別支援学校
近年、核家族化や地域社会のコミュニティの希薄化、家庭・保護者を取り巻く環境が大きく変化し、子育てについて悩みや不安を抱え、孤立する家庭もみられます。このような状況の中で、学校では基本的生活習慣が身に付いていない児童生徒が増えていることが大きな課題となっています。この課題について、学校がどのような役割を果たすべきか、家庭や地域との連携を踏まえ、あなたの考えを述べなさい。また、あなたは教員としてこの課題の解決に向けてどのように対応しますか。具体的に述べなさい。
平成31年度(2018年実施)
小・中学校等
教員には、変化の激しい社会を生きる子供たちに必要な力を養成することが求められています。また、教育公務員としての立場を深く自覚することも求められています。あなたは、このことをどのようにとらえますか。子供たちを育成する視点と教育公務員としての視点から述べなさい。また、それぞれについて、どのような実践をしていきますか。具体的に述べなさい。
高校・特別支援学校
第3 期教育振興基本計画(平成30年6月15日閣議決定)では、2030年以降の社会像の展望を踏まえた個人と社会の目指すべき姿と教育の役割として、個人においては「自立した人間として、主体的に判断し、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する人材の育成」が挙げられている。このような人材を育成する上での課題について、あなたの考えを簡潔に述べなさい。また、あなたは教員としてその課題の解決のためにどのような実践をしていきますか。具体的に述べなさい。
埼玉県教員採用試験 小論文の対策はいつから始めるべきか
結論をいえば、人によります。「何を当たり前のことを言っているんだ!」と思うかもしれませんが、事実なので…。
というのも、あなたが文章を書くのが得意と思いこんでいるなら本番1カ月前でもよいかもしれませんし、まったく苦手ならもっと早くやるべきだからです。
まずは今の実力を確認してみる
自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答になっていなかったりすることはよくあります。
なので、とりあえず予備校の模試などを受けてみて、今の論文力を把握してから、対策する時期の判断をしてみましょう。



東京アカデミーや時事通信などが模試を実施していますよ!
そこできちんと書けているようであれば、月に1枚~2枚の論文を書くだけでも対策になります。逆にまったく書けないなら基礎からやる必要がありますよね。
3ヵ月前には始めることを推奨
小論文対策はやることが多いです。
- 課題把握力(読解力)
- 文章構成力
- 表現力
- 語彙力
- 教職関連の知識
これらの力は短期間で身につくものではありません。語彙力や教職の知識くらいなら1ヶ月でも何とかなりますが、他の力を短期間で身につけるのは厳しいです。
書き方の勉強→推敲→フィードバック(添削)→繰り返す(最低2回)
こういった順番で勉強することになるので、やはり最低でも3ヶ月は必要だと思って学習スケジュールを組んでみてください。
小論文には、明確な解答がないため独学では限界があります。そのことを踏まえて勉強してくださいね。なお、小論文の書き方や添削方法はこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。


埼玉県教員採用試験 小論文で落ちないように準備しよう
今回は、埼玉県教員採用試験の小論文について、傾向や過去のテーマをまとめていました。
小論文試験では、どんな人が落ちると思いますか?答えは、最初から最後まで1人で対策しようとする人です。
小論文で落ちる人ほど、書いたら書きっぱなしってことが多いんですよね…。答案を書いて誰にも見せないというのは、問題を解いても答え合わせをしないのと同じことです。
過去問を眺めるだけでは、小論文を攻略することはできません。過去問を使って答案を作成し、添削を受けることで徐々に上達します。
小論文が原因で不合格にならにように、早めに(遅くても試験の3ヶ月前を推奨)準備を始めていきましょう。
今回は以上です。
その他、埼玉県教員採用試験の内容や対策はこちらの記事で解説しています。

