本記事では、東京都教員採用試験の内容(一次試験と二次試験)を徹底解説します。
教員採用試験の内容は、自治体によって大きく異なることを知っていますか?
日々の学校や仕事で忙しい中、効率よく試験対策できるかどうかは、志望先(=東京都)の試験内容をどれだけ理解しているかが重要です。
本記事を読めば、「試験内容はもちろん、傾向や最終合格するにはどう対策すればいいか」まで網羅的に理解できるので、ぜひ参考にしてください。
東京都教員採用試験の内容は?
東京都教員採用試験は、一次試験と二次試験に分けて選考を行なっています。
一次試験の内容
一次試験では、教職教養、専門教養、小論文が行われます。
一次試験 | 教職教養 | 教職員として必要な基礎学力(教職教養)に関する筆記試験。(択一式:25問 / 60分) |
---|---|---|
専門教養 | 指導教科に関する専門知識や教育方法論を問う筆記試験。(択一式:60分) | |
小論文 | 生徒指導に関するテーマに基づき、自分の考えを論理的に展開し記述する試験。教育現場で直面する課題への対応策や教育哲学など、深い思考と表現力が求められます。(910~1050字 / 70分) |
一次試験に合格すれば、二次試験へ進むことができます。
二次試験の内容
二次試験では、個人面接と実技試験が行われます。
二次試験 | 個人面接 | 教育現場での対応力や人柄、コミュニケーション能力などに関する面接試験。過去の経験や指導教科について質問されます。(1人25分程度) |
---|---|---|
実技試験 | 音楽や美術、体育など特定の教科の指導能力を見るための人物試験。 |
二次試験に合格すると、採用候補者名簿に記載されます(=最終合格)。
次の章からは、試験ごとの詳細を解説していきます!
東京都教員採用試験の教職教養
教職教養は、教員として必要な基礎能力や専門性がどれくらい備わっているかを測る筆記試験です。
教職教養の概要
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 25問(必答) |
出題形式 | 択一式(マークシート) |
配点 | 100点満点(1問4点) |
問題数25問に対して、試験時間は60分しかありません。
1問に3分かけていると時間に間に合わないので、各問題にかける時間をしっかりと配分することが重要です。
教職教養の出題科目
出題科目は、教育に関する基礎的な知識を問う教職科目とローカル科目で構成されており、一般教養科目(人文・社会・自然科学)の出題はありません。
教育原理 | 教育の基本的な理念や目的、さまざまな教育理論を問う科目 |
---|---|
教育法規 | 教育に関連する法律や規則の理解力を測る科目 |
教育心理 | 学習理論、生徒の発達段階、動機づけや認知のプロセスに関する科目 |
教育史 | 日本や世界の教育の変遷、重要な教育改革や教育思想の流れに関する科目 |
ローカル | 東京都の教育施策や話題に関する内容 |
教員(社会人)として必要な知識・基礎学力を評価する試験なので、幅広い範囲を網羅しなければなりません。
教職教養の問題例
出題形式は択一式です。
5つの選択肢の中から、各設問における正誤を判断したり、空欄に当てはまる語句の組み合わせを選んだりします。
教職教養の対策法
どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向(範囲)を理解し、効率よく勉強することが重要です。
たとえば2024(令和6)年度試験では、教育法規は9問出ていますが、教育史は2問しか出ていません。
教育原理 | 8問 |
---|---|
教育法規 | 9問 |
教育心理 | 4問 |
教育史 | 2問 |
教育施策 | 2問 |
- 本試験問題より作成
- 上記の科目別出題数は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
どちらの科目に多くの時間を使うかは明白ですよね。
もちろん、本試験までに時間がたっぷりあるなら一通り勉強するのも良いでしょう。でも、出ない科目に時間をかけたり、頻出なのに後回しにしてしまったりするのは勿体ないと僕は思います。
どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向を理解し、効率よく勉強しましょう。
東京都教員採用試験の専門教養
専門教養は、志望する校種・科目の専門的知識や理解を測る筆記試験です。
指導教科の専門性を問われるので問題レベルが高く、多くの勉強時間が必要という特徴があります。
専門教養の概要
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式(マークシート方式) |
配点 | 100点満点 |
専門教養の出題科目
出題範囲(内容)は、志望教科の専門知識だけでなく、学習指導要領からも出題があります。
出題例(学習指導要領)
専門教養の対策法
専門教養は、受験者ごとに学力レベルや知識の差が大きく出やすいので、現状に合った方法での対策が必須です。
たとえば、英語教員を目指す人の中には英検1級レベルの人から3級すら危うい人までおり、同じテキストで勉強しても意味がありません。
まずは過去問を自力で解き、現在の実力に合わせて、次のような勉強計画を考えてみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
専門教養を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、手厚く勉強することが大事です。
東京都教員採用試験の小論文
小論文は、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。
筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
小論文の概要
試験時間 | 70分 |
---|---|
文字数 | 910字~1050字 |
問題数 | 1題 |
評価基準 | ・課題把握力 ・教師としての実践的指導力 ・論理的表現力 ・文章構成力 ・国語力 |
配点 | 100点満点 |
文字数は制限があり、910〜1050字で書かなければなりません。対する試験時間は70分なので、文字数に対する試験時間が極めて短いのが東京都の特徴です。
普段から時間配分を意識して書く練習をしてください。
小論文のテーマ
出題テーマは、教育論や学級経営・生徒指導に関する内容が頻出です。
2024年度 | 児童・生徒一人一人のよい点や可能性を引き出し伸ばす教育 |
---|---|
2023年度 | 学級経営・生徒指導 |
2022年度 | 学級経営・生徒指導 |
小論文の対策ポイント
文章の書き方を勉強したうえで、教職教養や教育時事の知識がないと具体的に論じることができません。
また、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
毎年、評価がもらえずに不合格となる受験者は多いので早めに準備をしてください。
東京都教員採用試験の個人面接
個人面接は、自己PRや志望動機から教職員としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。
個人面接の概要
試験時間 | 25分~30分 |
---|---|
面接官 | 3人 |
面接カード (面接票) | あり ※一次試験の通知に同封 |
評価基準 | ・教師への理解 ・教科等の指導力 ・対応力 ・将来性 ・心身の健康と人間的な魅力 |
集団面接とは違い、受験者は自分一人だけなので緊張しやすい形式ですが、他の受験者がいないことから集中でき、自分をアピールしやすいという利点があります。
個人面接の質問内容
- 教師を志望した理由は何ですか。
- 集団討論の出来はどうでしたか。
- 教師はいつから目指していますか。
- 得意分野は何ですか。
- 指導できる部活はありますか。
- ICTを活用した授業は想定していますか。
- 学力が低い子供にはどう接しますか。
- この単元指導計画で何を学ばせたいですか。
- あなたが担当している部活動がうるさいと地域住民からクレームがあったらどう対応しますか。
- あなたの隣のクラスがとても汚れています。どう対応しますか。
- ある生徒から相談を受けました。その子の手首にはリストカットの後があります。どう対応しますか。
個人面接の対策法
近年の個人面接では、一つの回答に対し、より掘り下げて受験者の行動特性を把握する「コンピテンシー評価型面接」が一般的です。
たとえば、「どんな学級づくりをしたいですか」という質問に「笑顔があふれる学級」と回答しただけでは、まだあなたに教育的愛情やコミュニケーション能力があるかは判断できません。
そこで、「なぜ、笑顔があふれる学級にしたいのですか」とか「笑顔が苦手な子どもがいたらどうしますか」など、より理解を深めるために掘り下げた質問をして、正確に評価を行えるような情報を聞き出し、評価するのです。
しっかり自己分析ができていないと、深掘り質問に対応できません。過去に聞かれた質問に根拠を踏まえて回答できるよう、早め早めに準備を始めましょう。
東京都教員採用試験の実技試験
実技試験は、専門的技能や実践的能力があるかどうかを評価・判断する人物試験です。
専門知識の有無だけでなく、児童生徒に知識を伝えるための教育的なアプローチや方法論も重要視されます。
実技試験の概要
- 音楽科
- 美術科
- 保健体育科
- 英語科
これらの科目で行われます。
実技試験のテーマ
実技試験の対策ポイント
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
東京都教員採用試験の内容まとめ
今回は、東京都教員採用試験の内容(一次試験と二次試験)を徹底解説しました。
再度、試験内容の確認です。
一次試験 | 教職教養 | 教職員として必要な基礎学力(教職教養)に関する筆記試験。(択一式:25問 / 60分) |
---|---|---|
専門教養 | 指導教科に関する専門知識や教育方法論を問う筆記試験。(択一式:60分) | |
小論文 | 生徒指導に関するテーマに基づき、自分の考えを論理的に展開し記述する試験。教育現場で直面する課題への対応策や教育哲学など、深い思考と表現力が求められます。(910~1050字 / 70分) | |
二次試験 | 個人面接 | 教育現場での対応力や人柄、コミュニケーション能力などに関する面接試験。過去の経験や指導教科について質問されます。(1人25分程度) |
実技試験 | 音楽や美術、体育など特定の教科の指導能力を見るための人物試験。 |
これらの試験を通じて、東京都の教員として求められる資質や能力が総合的に評価されます。
試験内容は幅広いです。やれることからコツコツ始めていきましょう。本記事で解説したポイントを意識しながら、効率よく対策できると良いですね。
以上、東京都教員採用試験の内容についてでした。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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