教員採用試験の内容は、自治体によって大きく異なっていることを知っていますか?
日々の学校や仕事で忙しい中、効率よく試験対策できるかどうかは、志望先の試験内容をどれだけ理解しているかが重要です。
本記事では、神奈川県教員採用試験の内容(一次試験と二次試験)を徹底解説します。
本記事を読めば、「試験内容はもちろん、傾向や最終合格するにはどう対策すればいいか」まで網羅的に理解できるので、ぜひ参考にしてください。
神奈川県教員採用試験とは?
神奈川県教員採用試験とは、神奈川県内(横浜市、川崎市、相模原市を除く)の公立学校で働く正規教員を決める選考試験です。
様々な試験科目を課すことで、教育現場で必要とされる知識、技術、人格などを総合的に評価・判断します。
求める教師像
教育方針や学校の規模は自治体によって違います。そのため、求められている資質や能力も自治体によって様々です。
神奈川県が求める教師像は次のとおり。
神奈川県のめざすべき教職員像の実現に向けて
- 人格的資質・情熱のある人
- 課題解決力のある人
- 授業力のある人
志望先に見合った人物でないと採用されることはありません。どんな人物(人間)が求められているのか理解しておきましょう。
受験資格
神奈川県教員採用試験を受験するには、次の1~3の受験資格を満たす必要があります。
- 2025(令和7)年度採用の要件です。
- 一般選考が対象です。
神奈川県教員採用試験の内容
一般教養・教職専門
一般教養・教職専門は、教育に関する基本的な知識や基礎学力を測る筆記試験です。
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 39問 |
出題形式 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
出題科目は、教育に関する知識を問う「教職科目」と、高校までに習った「一般教養科目」で構成されています。
教 職 科 目 | 教育原理 | 教育の基本的な理念や目的、さまざまな教育理論を問う科目 |
---|---|---|
教育法規 | 教育に関連する法律や規則の理解力を測る科目 | |
教育心理 | 学習理論、生徒の発達段階、動機づけや認知のプロセスに関する科目 | |
教育史 | 日本や世界の教育の変遷、重要な教育改革や教育思想の流れに関する科目 | |
一 般 科 目 | 人文科学 | 国語や英語の基礎学力を測る科目 |
社会科学 | 地理歴史・公民の基礎学力を測る科目 | |
自然科学 | 数学や理科の基礎学力を測る科目 |
教員(社会人)として必要な知識・基礎学力を評価するため、幅広い範囲を網羅しなければなりません。
どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向を理解し、効率よく勉強しましょう。
教科専門
教科専門は、志望する校種・科目の専門的知識や理解を測る筆記試験です。
指導教科の専門性を問われるので問題レベルが高く、多くの勉強時間が必要という特徴があります。
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
出題範囲(内容)は、志望教科の専門知識だけでなく、学習指導要領からも出題があります。
教科専門は、受験者ごとに学力レベルや知識の差が大きく出やすいので、現状に合った方法での対策が必須です。
たとえば、英語教員を目指す人の中には英検1級レベルの人から3級すら危うい人までおり、同じテキストで勉強しても意味がありません。
まずは過去問を自力で解き、現在の実力に合わせて、次のような勉強計画を考えてみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
教科専門を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、手厚く勉強することが大事です。
論文
論文は、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。
筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
試験時間 | 60分 |
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文字数 | 600〜825字 |
問題数 | 1題 |
評価基準 | ・課題把握力 ・教師としての実践的指導力 ・論理的表現力 ・文章構成力 ・国語力 |
配点 | 40点満点 |
出題テーマは、現代社会における教育課題と、それに対応するための具体的なアプローチを論じさせることが多いです。
2024年度 | 個性や文化の違い |
---|---|
2023年度 | 人権教育と人権尊重の意識 |
2022年度 | ICTを用いた教育活動の推進 |
- 小学校の場合
- テーマは校種によって少し異なります。
論文の書き方を勉強したうえで、教育時事についても情報がないと具体的に論じることができません。
また、論文は自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
毎年、論文で評価がもらえずに不合格となる受験者は多いので早めに準備をしてください。
模擬授業
模擬授業は、教師としての指導技術や専門性を評価する人物試験です。
実際の授業のように、一定の時間内で指定されたテーマや教科について教えることが求められます。
試験時間 | 10分(準備、片付けを含む) |
---|---|
面接官 | 3人 |
配点 | 60点満点 |
指導案 | 事前作成(A4サイズの紙片面1枚) |
評価基準 | ・指導力 表現力 ・姿勢 態度 |
5~6人を1グループとした、集団での模擬授業を行います。際に児童・生徒役(他の受験者)がいるので、質問を投げかけ返答を求めることができます。
ペアワーク等、児童・生徒役が対面したり、近づいたりする授業はできません。また、配布物等を児童・生徒役に渡すことはできません。
模擬授業のテーマ
小学校 | 確かな学力の向上をめざし、児童一人ひとりが「主体的・対話的で深い学び」を実現するよう工夫された授業 |
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中学校 | 確かな学力の向上をめざし、生徒一人ひとりが「主体的・対話的で深い学び」を実現するよう工夫された授業 |
高等学校 | 教科等横断的な視点をもち、各教科・科目等の相互の関連を図りながら、「主体的・対話的で深い学び」が実現するよう工夫された授業 |
特別支援 | 各教科等の特質をふまえ、児童・生徒等一人ひとりの発達の段階等に応じた活動を通した自己肯定感を高めることにつながる授業 |
養護教諭 | 児童・生徒等の現状と課題を養護教諭の視点でとらえ、豊かな人間性や健康・体力を育み、自分や相手、一人ひとりを尊重することを大切にした授業 |
模擬授業のポイント
模擬授業では、正確な知識を与える授業を行うことは重要ですが、それよりもどのように子供の興味・関心を高めることができるか、という部分が大事です。
塾や予備校のようなやや強引な展開で授業を進める人もいますが、学校での授業では、子供とのやり取り・掛け合いが非常に重要。発問や質問を重ねて、クラス全体で授業を「つくっていく」ことを意識して準備しましょう。
個人面接
個人面接は、自己PRや志望動機から教職員としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。
集団面接とは違い、受験者は自分一人だけなので緊張しやすい形式ですが、他の受験者がいないことから集中でき、自分をアピールしやすいという利点があります。
試験時間 | 20分 |
---|---|
面接官 | 3人 |
配点 | 200点満点 |
評価基準 | ・姿勢 態度 ・判断力 表現力 ・堅実性 信頼感 ・協調性 社会性 ・専門性 多様性 ・適応性 使命感 |
近年の個人面接では、一つの回答に対し、より掘り下げて受験者の行動特性を把握する「コンピテンシー評価型面接」が一般的です。
たとえば、「どんな学級づくりをしたいですか」という質問に「笑顔があふれる学級」と回答しただけでは、まだあなたに教育的愛情やコミュニケーション能力があるかは判断できません。
そこで、「なぜ、笑顔があふれる学級にしたいのですか」とか「笑顔が苦手な子どもがいたらどうしますか」など、より理解を深めるために掘り下げた質問をして、正確に評価を行えるような情報を聞き出し、評価するのです。
しっかり自己分析ができていないと、深掘り質問に対応できません。過去に聞かれた質問に根拠を踏まえて回答できるよう、早め早めに準備を始めましょう。
実技試験
実技試験は、専門的技能や実践的能力があるかどうかを評価・判断する人物試験です。
専門知識の有無だけでなく、児童生徒に知識を伝えるための教育的なアプローチや方法論も重要視されます。
実技試験のテーマ
実技試験のポイント
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
神奈川県教員採用試験に関するFAQ
最後に、神奈川県教員採用試験に関するよくある質問(FAQ)を紹介します。
以上、神奈川県教員採用試験の内容についてでした。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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