今回は、鹿児島県教員採用試験の内容と傾向・対策方法を徹底解説します。
日々の学校や仕事で忙しい中、効率よく試験対策できるかどうかは、選考内容や傾向をどれだけ理解しているかが重要です。
本記事を読めば「試験の全体像から最終合格するには何をすればいいかまで」網羅的に理解できますよ。
※全国の試験内容を「【令和6年度採用】教員採用試験の内容一覧を解説【全国66自治体】」で紹介しているので、併願を考えている人は参考にしてください。
鹿児島県教員採用試験の内容
鹿児島県教員採用試験は、鹿児島県教育委員会が行う公務員試験の一つです。
鹿児島県内の公立学校で働く教員を募集するために実施されます。
ここでは、受験資格や試験科目などの内容を解説します。
求める教師像
教育方針や学校の規模は自治体によって違います。そのため、求められている資質や能力も自治体によって様々です。
当然、志望先に見合った人物でないと採用されることはありません。なので、必ずどんな人物(人間)が求められているのか把握してください。
鹿児島県が求める教師像(人物像)は次のとおりです。
- 心身ともに健やかで明朗活発な教師
- 高い専門性と幅広い教養をもち、謙虚に学び続ける教師
- 情熱と使命感にあふれ、教育的愛情を持つ教師
- 人間性豊かで的確なコミュニケーション能力をもつ教師
「このような人物を求めている」という採用側からのメッセージなので、必ず把握、理解するようにしましょう。
極端にいえば、一定の学力があり、これらの教師像にあなたの人物像がマッチしていれば合格です。
受験資格(年齢制限)
次の1から4の全てを満たしていることが条件となります。
募集教科・採用人数
令和6年度採用(2023年実施)試験では、全体で550人の採用を予定しています。
詳細は次のとおり。
校種・教科 | 令和6年度 | 令和5年度 | |
---|---|---|---|
小学校 | 285 | 285 | |
中学校 | 国語 | 26 | 23 |
社会 | 24 | 26 | |
数学 | 26 | 25 | |
理科 | 16 | 17 | |
音楽 | 12 | 8 | |
美術 | 3 | 3 | |
保健体育 | 13 | 19 | |
技術 | 4 | 3 | |
家庭 | 3 | 3 | |
英語 | 23 | 23 | |
高等学校 | 国語 | 5 | 若干 |
地理歴史 | 3 | 若干 | |
公民 | 若干 | 若干 | |
数学 | 4 | 5 | |
理科 | 3 | 3 | |
英語 | 4 | 4 | |
保健体育 | 若干 | 3 | |
音楽 | 若干 | 若干 | |
美術 | 若干 | 若干 | |
書道 | 若干 | 若干 | |
家庭 | 3 | 4 | |
農業 | 若干 | 若干 | |
商業 | 3 | 3 | |
水産 | 若干 | 若干 | |
看護 | – | 若干 | |
福祉 | 若干 | 若干 | |
情報 | 3 | 若干 | |
工業 | 4 | 若干 | |
特別支援 | 小学部 | 30 | 17 |
中高部 | 24 | 28 | |
養護教諭 | 23 | 25 | |
栄養教諭 | 6 | 2 |
昨年に比べると、全体で21人増える見込みです。
・令和6年度:550人
・令和5年度:529人
選考スケジュール
募集要項の発表から最終合格までのスケジュールは以下のとおりです。
出願期間 | 令和5年5月8日(月)~29日(月) |
---|---|
一次試験 | 令和5年7月9日(日) |
二次試験 | 令和5年8月8月23日(水)〜9月7日(木) |
合格発表 | 令和5年9月29日(金) |
令和7年度から試験日が6月に前倒しされます!
鹿児島県教員採用試験の日程について、詳しくは次の記事でまとめています。
試験科目
鹿児島県教員採用試験は、二段階選抜方式で行われます。
まず、一次選考で受験者を篩にかけ人数を絞ります。その後、合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定。
傾向と対策方法は後述しています。ぜひ、参考にしてください。
実施状況
直近5年間の実施状況は次のとおり。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
令和6年度 | 1,229 | 576 | 2.1 |
令和5年度 | 1,407 | 583 | 2.4 |
令和4年度 | 1,509 | 499 | 3.0 |
令和3年度 | 1,639 | 477 | 3.4 |
令和2年度 | 1,705 | 432 | 3.9 |
鹿児島県教員採用試験の教科別倍率について、詳しくは次の記事でまとめています。
鹿児島県教員採用試験の傾向と対策
ここでは、鹿児島県教員採用試験の傾向を試験別にまとめています。
教職・一般教養
教職・一般教養は、学習指導要領や教育に関する法律などの教師力を測る「教職科目」と、高校までに習った基礎学力を測る「一般教養科目」で構成される筆記試験です。
校種・教科に関係なく、全員が同じ問題を解きます。
概要は次のとおり。
試験時間 | 50分 |
---|---|
問題数 | 大問22題(小問50問) |
出題形式 | 択一式 |
出題分野 | ・教職教養 ・人文科学 ・社会科学 ・自然科学 |
配点 | 100点満点(1問2点) |
出題科目
過去3年間の出題科目と問題数は次のとおり。
採用年度 | 令和4年 | 令和5年 | 令和6年 |
---|---|---|---|
教育原理 | 12 | 12 | 15 |
教育法規 | 6 | 10 | 8 |
教育心理 | 2 | 1 | 1 |
教育史 | 1 | 1 | 1 |
国語 | 11 | 6 | 7 |
英語 | 3 | 3 | 3 |
世界史 | 1 | 1 | – |
日本史 | 1 | 1 | 1 |
地理 | 1 | 1 | 1 |
政治 | – | 1 | 1 |
経済 | – | – | 1 |
国際関係 | 1 | – | – |
環境 | 1 | – | 1 |
数学 | 3 | 3 | 3 |
物理 | 1 | 1 | 1 |
化学 | 2 | 1 | 1 |
生物 | 1 | 2 | 1 |
地学 | 1 | 1 | 2 |
その他 | 2 | 5 | 2 |
- 上記の出題数は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
- その他には、鹿児島県教育施策や一般常識・時事が含まれます。
このように、誰もが一度は勉強した内容ばかりです。しかし、科目数が多すぎるので、対策に苦労している人は相当多いんですよね…。
また、1科目ごとの出題範囲も広いため、手当たり次第に勉強してはいけません。
勉強を進める前に「どの科目で点を取るのか」、「よく出る(まったく出ない)分野はどこか」といった、出題傾向を理解してからスタートしましょう。
具体的な出題傾向や勉強手順は、次の記事で解説しています。ぜひ、参考にしてください。
教科専門
教科専門は、志望する校種・教科の専門知識や学習指導要領の理解度を測る択一式の筆記試験です。
指導教科の専門性を問われるので問題レベルが高く、多くの勉強時間が必要という特徴があります。
概要は次のとおり。
試験時間 | 90分(※1) |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 記述式 |
配点 | 200点満点(※2) |
- 1 実技のある教科は50分
- 2 実技のある教科100点
問題レベルは、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験の問題が6割以上を占めています。
まずは志望する校種・教科の過去問を解いてみて、現在の実力を確認してみてください。そうしないと、何から対策すればいいか判断できません。
現在の得点から以下のように勉強プランを考えてみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
専門教科を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、手厚く勉強することが大事です。
教科専門の勉強方法について、詳しくは次の記事で解説しています。
個人面接
個人面接は、志望動機や自己アピールなどを問うことで、あなたが鹿児島県の教師として相応しいかどうかを評価・判断する人物試験です。
校種・教科に関係なく、一人2回の面接を実施します。
概要は次のとおり。
試験時間 | 面接Ⅰ:10分 面接Ⅱ:20分 |
---|---|
面接官 | 2人 |
評価基準 | ・指導性 ・社会性 ・論理性 ・態度 ・教育観、人権意識 |
配点 | 200点満点 |
個人面接は、あなた1人に集中して様々な観点から話を聞けるため、あなたの特性を正確に評価できます。
たとえば、「どんな学級づくりをしたいですか」という質問に「笑顔があふれる学級」と回答しただけでは、まだあなたに指導性や人権意識があるかは判断できません。
そこで、「なぜ、笑顔があふれる学級にしたいのですか」とか「笑顔が苦手な子どもがいたらどうしますか」など、より理解を深めるために掘り下げた質問をして、正確に評価を行えるような情報を聞き出し、評価するのです。
より具体的な情報を面接官に伝えることができるかどうかが合否を分けるポイントなので、自己分析に時間をかけて語れるように準備しましょう。
鹿児島県教員採用試験の面接について、詳しくは次の記事で解説しています。
実技試験
実技試験とは、教科・科目に関する実践力を備えているのか評価する試験です。
対象校種・教科と内容は以下のとおり。
一次試験 | 保健体育 | 必須:水泳 選択①:ダンス、柔道、剣道から1種目 選択②:陸上、器械、球技から2種目 |
---|---|---|
音楽 | 共通:ピアノ、指揮、声楽 中学校:アルトリコーダー 高校:任意の楽曲演奏 | |
美術 | 手のデッサン ポスター制作 | |
書道 | 臨書(漢字の楷書、行書、隷書、仮名)など | |
二次試験 | 家庭 | 手縫い ミシン縫い アイロンの扱い |
英語 | 英語のよるグループディスカッション |
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
適性検査
- YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)
- クレペリン検査
これらの検査を行い、受験者の性格や適性などを判断する資料とします。
グループ討議
試験時間 | 35分 |
---|---|
面接官 | 4人 |
配点 | 200点 |
評価基準 | ・リーダー性 ・論理性 ・協調性 ・コミュニケーション能力 ・態度、意欲 |
グループ討議とは、複数人の受験者同士が1つのグループになり、与えられたテーマにそって討論する(話し合う)試験です。
グループ討議の流れ
具体的な流れは以下のとおり。
控室でテーマが発表されるので、自分の考えをまとめます。その後、試験会場に入室。
時間は5分。
はじめに、一人1分程度で自分の考えを発表します。
その後、テーマに沿ってグループ討議を実施。試験時間は25分ほど。
面接官から数個、質問されるので順番に回答します。
グループ討議の過去問(テーマ)
出題されたテーマをいくつかまとめています。参考にしてください。
スポーツ庁の公立中学校の運動部活動の目指す姿をまとめた提言では,2023年度から2025年度末までの3年間を目処に休日の運動部活動から段階的に地域に移行するよう提言しています。メリット・デメリットを話し合った上で,今後の部活動のあり方等についてグループとしての考えを示してください。
グループ討議では、自分の意見を言い、他の受験者の意見を受け入れ、それらを組み合わせて最適な解決策を見つけることが求められます。
自分一人だけが目立つのではなく、周りのメンバーと協力する姿勢で臨みましょう。
鹿児島県教員採用試験でよくある質問FAQ
鹿児島県教員採用試験は難しいのか
近年では「鹿児島県教員採用試験は簡単になった」と耳にすることが増えてきました。
たしかに、以前よりも鹿児島県教員採用試験の難易度が下がっていることは事実です。
しかし、筆記試験で点を取れば合格できるのではなく、面接試験などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。
最終合格するのは簡単ではありませんが、きちんと対策すれば受かることは十分可能な試験です。
試験内容と傾向を再確認して、効率よく勉強を始めましょう。
今回は以上です。
その他、鹿児島県の試験情報