- 岐阜県教員採用試験の論文はどんな傾向?
- 岐阜県教員採用試験の論文はどんなテーマ?
- 岐阜県教員採用試験の論文の書き方は?
本記事は、岐阜県教員採用試験の論文について解説しています。
最初に論文試験の傾向を明確にしつつ、過去問を紹介していきます。
実際、論文が書けずに不合格になる受験者は多く、対策を後回しにしないことが重要。本記事の後半では、過去問を使いながら書き方のコツやNGポイントも解説しているので必見です。
それでは、前置きはこの辺にしてさっそく内容を見ていきましょう!
なお、その他試験の傾向は「岐阜県教員採用試験の内容は?試験傾向から勉強方法まで徹底解説」をご覧ください。
岐阜県教員採用試験 論文の傾向
岐阜県教員採用試験の論文は二次試験で全校種を対象に実施されます。
岐阜県の論文は「教育問題に関する事例」や「岐阜県の教育施策に関するデータ」を読み取って論述する形式です。文章を書く力の他に教職教養の知識や教育施策の情報を備えておく必要があります。
「慣れ」が必要なので、しっかり書く練習をしてください。
論文の試験時間
試験時間は60分です。
論文を書くときには、時間配分を意識する必要があります。
時間配分の目安は以下のとおり。
- 課題の把握、文章構成:10分
- 執筆:45分
- 推敲(見直し):5分
時間配分の感覚をつかむためには、実際に時間を図りながら練習することが必須です。
論文の文字数
文字数は以下のとおり、校種によって異なっています。
- 小学校、中学校、養護教諭、栄養教諭:640字〜800字
- 高等学校、特別支援学校:720字〜800字
文字数は大きな評価ポイントなので、必ず守ることが大切です。
論文の配点
以下の観点をもとに採点します。
- 教育観に立った主義・主張
・教育に対する熱い考え方を、説得力ある書きぶりで表現することができているか
・児童生徒の心を動かすことができる内容か
・体験などをもとに具体的な記述ができているか
・内容が説得力のあるものか
・課題に対して多面的な見方ができているか - 文章構成等
・読み手にわかりやすい文章構成がなされているか
・与えられた字数を、精一杯生かして論述しようとしているか 等 - 正確さ
・読みやすく、正確な表現で記述できているか
・誤字、脱字はないか
配点は150点(高校、特支は200点)
足切り
なお、論文には基準点が設定されています。
この基準点を下回ると他の試験が満点でも不合格になる(=足切り)ので注意が必要です。
とくに「論旨」がズレてしまえば、大幅に評価をさげてしまいます。
このような観点は独学ではなかなか判断できないので、添削指導を受けて自分の弱点をあぶり出して対策しましょう。
- 岐阜県の傾向は「教育問題や教育施策」について論じる
- 試験時間60分、文字数は640(720)〜800字
- 足切り(基準点)に注意
岐阜県教員採用試験 論文の過去問テーマ
ここでは岐阜県教員採用試験の論文で出題された過去問をまとめています。
問題は校種に関係なく全員同じです。
令和2年度(2020年度)
小学校 | 岐阜県では,「岐阜県の求める教師像」として,3点を掲げています。 あなたは,その3点の具体像をそれぞれどのように捉えますか。また,それぞれの実現に向けて,具体的にどのように取り組んでいきたいか,あなたの考えを述べなさい。 |
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中学校 | |
養護教諭 | |
栄養教諭 | |
高校 | 地域社会の活力を維持・向上し,持続可能な地域社会を実現するために,高等学校が果たすべき役割とは何か。 地域社会の置かれている現状を踏まえ,あなたの考えを述べなさい。 |
特別支援 |
令和3年度(2021年度)
小学校 | 「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)」によると,小・中・高等学校における暴力行為の発生件数は72,940件であり,前年度から約15%増加している。 また,過去5年間の傾向として,小学校における暴力行為が大幅に増加している。(平成25年度:10,896件→平成30年度:36,536件) 暴力行為の増加の要因と背景を踏まえ,小学校段階における指導の在り方について,あなたの考えを述べなさい。 |
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中学校 | いじめは、どの子供にも,どの学校でも,起こりうるものであり,その的確な対応が求められています。いじめ防止対策推進法で定義されている「いじめ」とはどのようなものか、簡潔に述べなさい。 また,「いじめの防止等のための基本的な方針(最終改定 平成29年3月14日 文部科学大臣決定)」に示されている学校における「いじめの防止」のポイントを踏まえ、いじめを未然防止するために,継続的に取り組む内容について述べなさい。 |
養護教諭 | 近年, アレルギー疾患を抱える子供が増えてきています。食物アレルギーは、生命に危険を及ぼすアナフィラキシーショックを引き起こすことがあり,十分な配慮が必要です。勤務する学校に,乳製品をアレルゲンとする食物アレルギーを有する子供が入学してくることがわかりました。 「学校給食における食物アレルギー対応指針(平成27年3月 文部科学省)」に示された学校給食における食物アレルギー対応の大原則を踏まえ,学校として,具体的にどのような対応をするか,入学してくる子どもの保護者に説明する原稿を書きなさい。 |
栄養教諭 | |
高校 | 授業においてICT機器をより効果的に活用するためには、どのような点に留意する必要があるか。また、具体的には、どのような授業実践が考えられるか。 志願する校種・教科(科目)に即し、あなたの考えを具体的に述べなさい。 |
特別支援 | 主体的・対話的で深い学びを実現するため、あなたはどのようなことを踏まえて授業を計画し、また具体的にどのような授業を実践しますか。 志願する校種・教科(科目)に即して述べなさい。 |
令和4年度(2022年度)
小学校 | あなたは、休み時間に、あなたの担任する学級のAさんが、同じ学級のBさんとCさんから冷やかされたりからかわれたりしている場面を見かけました。Aさんに事情を聞いたところ、「自分がされて嫌だと思うことは嫌だと言えているし、いじめとは感じていない。」と答えましたが、普段よりも暗くしずんだように見えました。 担任として、この後とるべき対応について、①Aさんへの対応 ②Bさん及びCさんへの対応 ③その他必要な対応 に分けて具体的に述べなさい。 ※Aさん、Bさん、Cさんの学年は、各自の志望種別において想定し、論じること。 |
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中学校 | |
養護教諭 | あなたの学校の児童生徒であるAさんは、4月の登校初日から登校をしぶるようになり、母親が学校まで連れて来ていましたが、なかなか校舎の中に入ることができません。4月下旬に、母親から、「子供が『保健室までなら行けるかもしれない』と言っている。」という申し出が養護教諭であるあなたにありました。 この申し出を踏まえ、あなたは、養護教諭として、どのような対応をしますか。夏休みに入るまでに実現したい状況を述べた上で、具体的に述べなさい。※Aさんの校種及び学年は、各自の想定において論じること。 |
栄養教諭 | 小学校1年生のAさんは、野菜が嫌いで、学校でも家でもほとんど食べません。ある日、Aさんの母親から、「子供の野菜嫌いを何とかしたい。」という電話が栄養教諭であるあなたにかかってきました。 あなたは、栄養教諭として、母親に対し、どのような助言をしますか。具体的に述べなさい。 |
高校 | 急激に変化する時代の中で、高校生にどのような資質・能力を身に付けさせるべきであると考えるか。 また、その資質・能力を高校生に身に付けさせるために、日々の教育活動において、あなたはどのようなことに意識的に取り組もうと考えるか。 |
特別支援 | 障がいのある子どもたちにとって、自立と社会参加に必要な力とはどのような力であると考えるか。 また、その力を養うために、日々の教育活動において、あなたはどのようなことに意識的に取り組もうと考えるか。 |
- 岐阜県の論文テーマは校種によって異なる
- 過去問をたくさん説いて傾向を理解する
- 書いた答案は添削してもらい出来具合を把握する
岐阜県教員採用試験の論文対策|書き方を解説!
論文は「三段型」を使って書くことをオススメします。
なぜなら、文章の構成がしっかりでき、論旨に一貫性を持たせることが簡単にできる型だからです。
三段型の構成は以下のとおり。
- 【序論】:テーマに対する自分の考えや解釈を主張
- 【本論】:主張を裏付ける根拠や具体例を提示
- 【結論】:全体を占める、今後の抱負や熱意を示す
この型を使い、全体的に4~5段落構成で書くといいでしょう。
書き方の例
実際の問題を参考に考えてみましょう。
「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)」によると,小・中・高等学校における暴力行為の発生件数は72,940件であり,前年度から約15%増加している。また,過去5年間の傾向として,小学校における暴力行為が大幅に増加している。(平成25年度:10,896件→平成30年度:36,536件)
暴力行為の増加の要因と背景を踏まえ,小学校段階における指導の在り方について,あなたの考えを述べなさい。
ここで意識すべき点は以下の2つ。
- データから読み取れる社会的情勢(傾向)
- 暴力行為の増加の要因と背景
- 小学校段階における指導の在り方について,あなたの考え
そして、「640字〜800字」と字数制限まで決まっています。
あとは、このポイントを守りながら、先ほど紹介した型(三段型)に当てはめて書けばOK。
- 【序論】暴力行為の増加の要因と背景の説明、これを踏まえて自分の指導感を述べる(150字程度)
- 【本論】自分の指導感を裏付ける根拠や体験を述べる(450字程度)
- 【結論】このように~していきたいと決意を述べて締める(100字)
このようにスッキリした文章を書くことができます。
情報収集が必要
過去問を見てわかったと思いますが、「データの読解力」や「社会的背景」に関する知識が必要です。
書くためには、教育問題に対する知識、岐阜県の教育方針や施策、自らの教育観といった多くの情報が必要。
先ほどの例でいうなら、「暴力行為の増加の要因と背景」はどのような傾向があるのかを正確に理解しているかどうか。
ただ自分の考えを書くだけでは評価はもらえないため、事前に情報収集をしておくことが大切。
マイナス評価を受けない書き方
どれだけ上手に文章が書けても、以下に該当する答案はマイナス評価を受けてしまいます。
- 雑、汚い
- 原稿用紙の使い方
- 誤字・脱字
- 横文字だらけ
- 一文が長い
なかでも誤字・脱字や文体(常体・敬体)の混同は大きく減点されてしまいます。
- 「常体」・・・文末が「である」「だ」形
- 「敬体」・・・文末が「です」「ます」の形
✕「学習指導において、正しい言葉遣いを身につけさせたいです。言葉遣いは良好な人間関係を形成するためにも必要不可欠な要素だからだ」
◎「学習指導において、正しい言葉遣いを身につけることができるようにする。言葉遣いは良好な人間関係を形成するためにも必要不可欠な要素だからだ」
- 書き方は「三段型(序論・本論・結論)」を使って執筆
- 書くには前提知識(教職、教育時事、教育施策など)が必要
- 書いた答案は添削を受けて弱点を把握することが上達のポイント
岐阜県教員採用試験 論文対策はいつから始める?
結論をいえば、人によります。
「何を当たり前のことを言っているんだ!」と思うかもしれませんが、事実なので…。
というのも、あなたが文章を書くのが得意と思いこんでいるなら本番1カ月前でもよいかもしれませんし、まったく苦手ならもっと早くやるべきだからです。
とはいえ、とりあえず書いてみて評価を受けてから判断することをオススメします。
何度も言うように、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあるからです。
添削を受けてみて、ある程度書けていれば月に1~2枚ぐらい書く、まったくダメなら繰り返し書く。このように判断するといいでしょう。
論文対策は明確な解答がないため、独学では限界があります。そのことを踏まえて練習してください。
- 岐阜県の傾向は「教育事例や教育施策」について論じる
- 過去問をたくさん説いて傾向を理解する
- 書き方は「三段型(序論・本論・結論)」を使って執筆
- 書くには前提知識(教職、教育時事、教育施策など)が必要
- マイナス評価を受けないように注意