- 教員採用試験の教育心理はどんな問題がでるの?
- 教育心理は何から勉強すればいいの?
- 教育心理は勉強した方がいいの?
教育心理は教員採用試験の教職教養で出題される科目のことです。
どの自治体でも1問〜2問くらい出題されています。
最近は面接試験や小論文でも知識が求められているので、重要度は高くなっています。
そこで本記事では教育心理の特徴から勉強法まで解説しています!
教職教養は教養試験の中でも重要度は高いので、早めに攻略していきましょう!
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教員採用試験の教職教養「教育心理」とは?過去問を見てみよう!
教育心理とは、教員採用試験の教職教養における1科目のことです。
教員採用試験で出題される教育心理は次の6分野。
- 発達の理論
- 学習の理論
- 人格と適応
- 心理療法
- 教育評価
- 学級集団
この分野のうち、圧倒的な出題率を占めるのが「学習の理論」と「発達の理論」です。その占有率は50%以上です。
分野の特徴と出題例を載せています。
分野①:学習の理論
この分野では「学習理論」や「条件付け」「動機付け」「記憶」といった学習に関連する理論や説について問われます。
出題率は約30%。同じような理論が出てくるので違いを確認しておきましょう。
過去問チャレンジ
次のア~オの記述のうち,教育心理学におけるプログラム学習について正しく述べているものの組合せとして最も適切なものを,後の①~⑤のうちから選びなさい。
ア.スキナーによって提唱されたオペラント条件づけの原理を応用した学習指導法である。
イ.基本原理には,オペラント条件づけにおける逐次的接近の原理を応用した「スモール・ステップの原理」や,分化強化の原理を用いた「積極的反応の原理」などがある。
ウ.プログラム学習には,クラウダーによって考案された「直線型プログラム」とスキナーによって考案された「枝分かれ(分岐)型プログラム」の,大きく2種類がある。
エ.スキナーは,ティーチング・マシンとよばれる機器の利用に取り組んだ。
オ.バンデューラは,個々の学習者の適性に対して柔軟に対応できる適合性をもったCAI システムの確立と発展に寄与した。
① アとウ ② アとエ ③ イとエ ④ イとオ ⑤ ウとオ

正解は②です!
分野②:発達の理論
この分野では発達段階に応じた影響や発達状況の把握などを学習します。
フロイトやエリクソン、コールバーグなど提唱者や説が多くでるため関連付けて覚えるようにしましょう。出題率は23%。
過去問チャレンジ
次の記述ア~カは,コールバーグによる道徳性の発達理論に基づく六つの段階をそれぞれ説明したものである。ア~カを発達の段階順に並べたものとして適切なものは,下の1~5のうちのどれか。
ア.共同社会全体の中で一般的に受け入れられる行動を基に判断して行動することにみられるように,「よい子」として振る舞うことが中心である段階。
イ.「盗みをすることは悪い」ということの理由を「罰せられるから」といった,行為に伴う結果から理由付けをすることにみられるように,罰と服従が中心である段階。
ウ.法はいつでも,共同社会の合意を得て民主的な手続きにより変更することが許されていると考えることにみられるように,社会契約的な考え方が中心である段階。
エ.自分の責任と義務を誰もが果たすことの大切さや,無秩序を避けることの重要性について述べることにみられるように,法と秩序が中心である段階。
オ.社会秩序の重要性は認めるものの,全ての秩序ある社会が必ずしももっと重要な原理を満たしているとは限らないと考えることにみられるように,普遍的な道徳原則が中心である段階。
カ.どんな問題にも,ある側面とは別の側面があることを理解し,自分の要求や楽しみで判断することにみられるように,ナイーブな利己的判断が中心である段階。
1 .ア→イ→ウ→エ→オ→カ
2 .ア→カ→イ→エ→ウ→オ
3 .イ→ア→カ→ウ→オ→エ
4 .イ→カ→ア→エ→ウ→オ
5 .カ→ア→イ→オ→エ→ウ

正解は4です!
分野③:教育評価
評価方法の種類やメリット、デメリット、学習評価が児童生徒に与える影響などについて学びます。
出題率は17%と高く、教育心理では3番目の出題率です。
過去問チャレンジ
学習活動の評価において,人・事物のある一つの特徴について良い(ないしは悪い)印象を受けると,その人・事物の他のすべての特徴も実際以上に高く(ないしは低く)評価する現象を何効果というか,①~⑤から一つ選んで番号で答えなさい。
① 対比効果
② ピグマリオン効果
③ ハロー効果
④ 寛大化効果
⑤ 天井効果

正解は③です!
分野④:人格と適応
人間の性格や性格検査などを学びます。マズローの欲求階層構造説は頻出なので絶対に覚えるようにしましょう。
出題率は16%ほど。
過去問チャレンジ
マズローの欲求階層説について誤っているものを,次の1~5の中から1つ選べ。
1 .「安全の欲求」がある程度満たされると「生理的欲求」が発現する。
2 .「愛と所属の欲求」がある程度満たされると「承認欲求」が発現する。
3 .「自己実現の欲求」は最上位に位置づく。
4 .「自己実現の欲求」は成長動機づけと呼ばれることもある。
5 .心理的発達が成熟すると,下位の欲求が満たされない場合でも,下位の欲求よりも上位の欲求の方が優位になることもある。

正解は1です!
分野⑤:心理療法
カウンセリングの技法や提唱者に関する問題が多いです。出題率は10%ほど。
過去問チャレンジ
次の⑴~⑷の文は,カウンセリングについて述べたものです。正しいものには○印,正しくないものには×印をそれぞれ書きなさい。
⑴ 非指示的カウンセリングにおいて大切なことは,カウンセラーは指示をせず,来談者の言葉や感情と敢えて距離を置くことである。クライエントが自身の態度や自分自身をより明確に見ることができるように,カウンセラーは意図的に,受容的雰囲気をつくらないことが基本姿勢となる。
⑵ カウンセリングで大切にしている基本的な指導理念や態度,姿勢をカウンセリング・マインドという。カウンセリング・マインドの具体的な内容には,一般に受容と共感があるといわれている。
⑶ 認知行動療法とは,人の内潜的な認知過程を変えることによって行動を変えていこうとするもので,例えば何かあると「自分はダメな人間だ」と思い込む人に,「今回はダメだったが,自分が無能なのではない」という思考に変えていく方法である。
⑷ エンカウンター・グループにおいて,グループの信頼と安全の土壌を作る働きをし,時間や場所の枠作り,話の交通整理,傷つきそうなメンバーを守るなどの役割と責任をもっているスタッフをファシリテーターとよぶ。

正解は⑴× ⑵○ ⑶○ ⑷○
分野⑥:学級集団
モレノの提唱したソシオメトリック・テストなど集団を対象とした心理検査や集団の区分などについて出題があります。
出題率は3%。高くないです。
過去問チャレンジ
ソシオメトリック・テストの説明として適切ではないものを,次の①~④のうちから選びなさい。
① 社会集団が組織化されている程度を測定する道具として定義されている。
② モレノが創始したソシオメトリーの分析技法として開発された。
③ 質問の中で選択が集中する子どもをスターと呼ぶ。
④ 「クラスで一番親切な人は誰か」などと質問し,子どもたちの関係や性格・行動特性を知る手がかりとする。

正解は④です。
- 教育心理は暗記中心
- 出題分野は6分野ほど
- 学習の理論の人格の出題が増加傾向
教員採用試験の教職教養「教育心理」は点がとりやすい!特徴3つ
特徴は次の3つ。
- 得点源にしやすい
- 出題割合は低い
- 面接でも知識が必要
順番に解説していきます。
特徴①:得点源にしやすい
教育心理は得点を取りやすいです。
なぜなら、覚えるべき項目にパターンがあるから。
教育心理は出題範囲が広く、人物名や関連理論を覚えるため苦手意識を持つ受験者は多いです。
しかし、教育に関する主要人物は決まっているため勉強しやすいですよ。
短期集中的に知識を詰め込めば得点することは可能です。
特徴②:出題割合は低い
教職教養の中では出題率10%と高くはありません。

教育心理を捨て科目にする受験者は一定数いますが、不合格へ直結ルートなので注意しよう。
頻出の人物や理論はパターン化しているため傾向を知れば楽勝!
自治体によっては、出題がないこともありますよ!
しかし、特徴①で解説したように、得点源にしやすいため勉強する価値はあります。
また、特徴③でも解説しますが、「面接」でも知識が必要となります。
そのため、優先順位は低いですが対策はしておきたいですね。
特徴③:面接でも知識が必要
教育心理の知識がないと、下記の質問に上手く返答することは難しいです。
- 不適応を起こす児童がクラスにいた場合どうしますか。
- 不登校の生徒がいた場合,どのように対応しますか。
- 学習評価を実施する際に,大切にすべきことを三つ挙げてください。
教育原理や時事などと絡んで出題されるパターンが多いです。
出題数は少ないですが、時間をみつけて対策するようにしましょう!
教員採用試験の教職教養「教育心理」の勉強法!効率的な覚え方の手順
教育心理を効率よく覚える勉強方法を解説します。
- 全体像の把握
- 出題傾向の確認
- 問題演習でインプット&アウトプット
- 模試で実践練習
順番に解説します。
手順①:全体像の把握
教育心理の全体像をつかむことからはじめましょう。
教育原理などと絡んでくる範囲がでてくるからです。
おすすめのテキストは、時事通信社の「教職教養30日完成」。
必要な部分を厳選しているため、効率よく流れを知ることができますよ。
手順②:出題傾向の確認
志望先の過去問を最低5年(できれば10年)ほど分析しましょう。
そうすることで、頻出分野を知ることができるからです。
教育心理は範囲が狭いので、すべてを勉強することはできます。
しかし、出題数が1問とかなので、コスパが良くないんですよね。
出題分野が分かれば、必要時間数もわかりますよね。
おすすめは、協同出版の「教員採用試験「過去問」シリーズ」です。
5年分の問題が収録されているので、活用しましょう!
手順③:問題演習でインプット&アウトプット
教育心理は、「人物名」や「法則」の暗記がメインです。
なので、問題演習を中心に勉強しましょう。
文章だけを読んで勉強しても効率が悪く、覚えられないからです。
試験は記述ではなく、マークシートなので、何となく思い出せればOK。
おすすめは、時事通信の「Hyper 実戦シリーズ」です。
全国の問題が収録されており、様々な形式で問題を解けますよ。
手順④:模試で実践練習
最後に、模擬試験を数回受験しましょう。
初見問題への対応力や時間制限の中で解く練習をするためです。
各予備校で模擬試験を数回やっているので、活用すればOK。
- 複数回受けること!
- 会場で受けること!!
この2つを意識してくださいね。
基本的に教育心理は、直前期に詰め込んだほうが効果的です。
そのため、「教職教養30日完成」だけでも、何とかなるかと。
出題傾向に応じて調整していきましょう!
- 教育心理は暗記科目
- 出題傾向を把握、頻出分野から勉強
- 記憶に残る方法で勉強する
教員採用試験の教職教養「教育心理」の注意点
- 参考書は不要
- 深追いは禁物
順番に解説します。
注意①:参考書は不要
基本的に、参考書は不要です。
なぜなら、「人物+キーワード」「法則+キーワード」が分かれば正答できるから。
参考書は1つの事柄を無駄に詳しく載せていますが、そんなに出ません。
5行あれば必要なのは、1行くらいですよ。
勉強ができない人は、ずっと文を読んで覚えています。
これは効率が悪いので、辞めたほうがいいですよ。
注意②:深追いは禁物
注意①と被りますが、「人物+キーワード」「法則+キーワード」が分かれば正答できます。
なので、1人の人物や法則を深堀する必要はありません。
心理学の論文を書くわけではないからです。
先ほどもいいましたが、何となく覚えておけば正答できるので、深追いは禁物ですよ!
教員採用試験の教職教養「教育心理」まとめ
教員採用試験の科目「教育心理」をまとめていました。
児童・生徒の成長過程や学習過程を知ることは教員として必須のスキルです。
勉強だけでなく、働く上でも必要な知識ですよ!
個人的には教職科目で1番勉強をしていて楽しいです。
出題数は多くありませんが、勉強すれば得点源になる科目です。
再度、勉強プロセスの確認をしましょう。
- 全体像を軽く知る
- 出題分野の仕分けをする
- 問題演習を中心に覚える
- 模試で実践練習
暗記科目なので、直前期に覚えこんでしまいましょう!
以上、教育心理の勉強法でした。
- 基本は暗記
- 出題頻度の高い分野を中心に勉強する
- 問題集をメインに覚えることがポイント