- 大阪市教員採用試験の内容は何があるの?
- 大阪市教員採用試験の傾向は?。
- 大阪市教員採用試験はどうやって対策するの?
「大阪市教員採用試験の対策をはじめよう!」と思うものの、何からはじめていいかわかりませんよね。
そもそも、どんな試験があるのかどうかもよくわかっていない…。
教員採用試験は、自治体ごとに試験内容や出題される問題が違います。そのため、内容を知らずに対策することはNGです。
そこで本記事では、大阪市教員採用試験の具体的な内容と、試験ごとの傾向から対策方法まで解説します。
大阪市の教員になるには筆記対策と面接対策の両方が必要です。
今すぐにでも勉強を始めたいと考えている人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
※一般選考の内容をまとめています。
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大阪市教員採用試験の内容は?
大阪市教員採用試験は、大きく「筆記試験」と「面接試験」に分類できます。
試験は段階式で行われ、まず一次選考で受験者を篩にかけ人数を絞ります。その後、一次選考の合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定するという流れです。
試験の流れを知らない人は「【令和5(2023年度)】大阪市教員採用試験の日程はいつある?流れを解説!」を参考にしてください。
まずは試験ごとに大まかな内容を把握しましょう。

令和5年度(2022年実施)の内容をまとめています。詳細は必ず要綱で確認してください。
一次試験の内容
- 筆答(教職教養、思考力・判断力を測る問題)
- 個人面接
二次試験の内容
- 筆答(教科専門)
- 個人面接
- 実技
配点
試験 | 配点(評価) | |
---|---|---|
一次 | 筆答 | 450点 |
面接 | 450点 | |
二次 | 専門 | 200〜400点 |
個人面接 | 420〜450点 | |
集団面接 | 180〜200点 |
年度 | 合格率 | 受験者 | 合格者 |
---|---|---|---|
令和2年度 | 29.2% | 2,643 | 774 |
令和3年度 | 29.7% | 2,962 | 881 |
令和4年度 | 25.6% | 2,549 | 655 |
約3~4人に1人しか合格できない厳しい状況が続いています。
詳しくは「大阪「市」教員採用試験の倍率は高い?過去の推移を教科別に解説!」をご覧ください。
大阪市教員採用試験の勉強時間はどれくらい?
合格までにどれぐらいの勉強期間・時間が必要なのか気になりますよね。
勉強時間が多いからといって合格に直結するわけではありませんが、落ちる人の多くは圧倒的に量が少ないです。
目安は700時間
勉強時間は700時間〜を目標としましょう。
1日2時間やれば1年程度で達成できる時間ですね。
学業や仕事と両立しながら合格を目指すことになるので、負担がなく、現実的に勉強できる計画を立てて実行することが重要。
- 1日2時間・・・350日(約1年間)
- 1日3時間・・・233日(約8ヶ月)
- 1日4時間・・・175日(約半年)
具体的な勉強方法は「【教員採用試験の勉強法】独学で合格したい初学者におすすめのやり方を完全解説」で解説しています。
短期集中がポイント
勉強時間の確保が難しい場合は、はやめに対策をはじめることにプラスして「効率性」を意識することが大切です。
どれだけ「量」をこなしても、「質」が伴っていないと効果減です。逆に「質」が良ければ、最低限の量をこなすだけで効果バツグン。
なので、できるだけ短期集中(9ヶ月ぐらい)で覚えていくことが重要です。
勉強を始めるタイミングについては「教員採用試験の勉強はいつから?合格に必要な勉強時間とスケジュールを解説」でも詳しく解説しています。
大阪市教員採用試験 教養試験の傾向
筆答(教養試験)は、「教職教養」と「思考力・判断力を測る問題」で構成される筆記試験です。
- 教職教養:主に教員として知っておくべき知識
- 思考力・判断力:文章題を読んで計算したり、趣旨に合う選択肢を選ぶ問題
要は科目の多い大学入学共通テスト(センター試験)のようなもので、その多くが高校までに学んだ内容です。
校種・教科に関わらず、全員が同じ問題に解答します。
教養の試験科目
科目 | 主な内容 | |
---|---|---|
教職教養 | 教育原理 | 学習指導要領や教育時事など、教育の基礎知識、 |
教育法規 | 教育基本法や学校教育法など、教育関連の法令知識。 | |
教育心理 | 学習に関する心理過程や成長発達、教育評価などの知識。 | |
教育心理 | 西洋、日本の教育に関する歴史や制度の変遷 | |
思 考 力 ・判断力 | 数的推理 | 「速さ」や「確率」、「○○算」など、算数や数学の文章題 |
判断推理 | 「パズル」や「文章条件から推測」など、論理的思考力を図る問題 | |
資料解釈 | 「数表」や「グラフ」からデータ、資料、統計値などを読み解く問題 | |
文章理解 | 300~400字程度の「現代文」「英文」を読んで趣旨に合う設問を選ぶ |
これらの科目から30問出題されます。
試験時間は90分。
出題は「空欄補充」や「正誤問題」が多く、解答方式は択一式(マークシート)。5つの選択肢から正答を選んで解答します
教養試験の出題レベル
レベルは少し高いといえます。
なぜなら、思考力・判断力を問う問題があるからです。
この問題は公務員試験(県庁や市役所など)で多くの受験者を悩ませる科目であり、教員採用試験でも同じく悩む人が多いです。
一見、簡単な計算問題や文章読解ですが限られた時間内で正答をださなければいけません。また、正誤問題が多いことからも難度は高いと言えるでしょう。
まずは主要科目や頻出分野を理解して勉強することがポイントです。
教養試験の過去問
「大阪市教員採用試験の過去問はいつ使う?PDFまとめ」でまとめています。
出題形式やレベルの確認をしてみましょう。
教養試験の対策法
ここまで解説した通り教養試験は、試験科目が多く、出題範囲も広いため全科目に同じ時間を使って勉強してはいけません。
勉強するときのポイントは、次の2つ。
- 「主要科目から勉強すること」
- 「頻出分野から手をつけること」
主要科目から勉強する
大阪市教員採用試験で一番時間がかかる「主要科目」は教育原理、数的推理、判断推理です。出題数が多く、理解するのに時間がかかる、または物理的に量が多いというのが主要因です。
まずは、これらの科目に絞って手をつけるのが先決!
これらの科目にある程度メドが立たないと、合格点を取ることは厳しいので、最初は主要科目に絞って勉強することがポイントです。
つまり、主要科目の正答率が高ければ高いほど、その他の科目の負担が少なくなるので、効率よく勉強できます。逆に主要科目で点が取れないと、その他の科目でも点を取らなければいけなくなるため多くの時間がかかってしまうんですね。
頻出分野から手をつける
また、重要科目だからといって全範囲を勉強することはNGです。
なぜなら、すべての範囲から満遍なく出題されているわけではないから。
たとえば、教育原理の出題率を見ると「学習指導要領」や「人権教育」の出題率は90~100%ですが、「教育方法」や「道徳教育」からはほとんど出ていません(2013~2022年度)。
使える時間は限られているのに、出ない範囲まで時間を使っても損ですよね。
これを間違えると、時間をたくさん使って勉強したのに点数が取れない、つまり不合格という悲惨な結末になってしまいます。
過去の出題傾向をしっかり把握しておけば、「どこから手をつければいいのか」なんて悩まなくてよくなります。
まずは試験に必要な全体像をつかみ、最重要箇所から勉強していくようにしましょう。
- 全科目・範囲を勉強することはNG
- 出題数の多い科目から手をつける
- 最重要箇所を把握して効率よく勉強する
大阪市教員採用試験 個人面接の傾向
個人面接は一次試験と二次試験でそれぞれ実施されます。
試験時間は10〜20分程度。
配点は全体の50%以上を占めているため、面接で点数を取ることが重要。
場面指導を実施
二次試験の冒頭に「場面指導」が実施されます。
「生徒指導」や「いじめ」、「保護者対応」などがよく出題されています。
面接個票(面接カード)
面接個票とは、面接で使用する資料のことです。
面接官は提出された面接個票を参考に質問してくるので、わかりやすく書くことが重要。
面接個票は出願時に作成されるマイページからからダウンロードして、試験日に提出しなければいけません(自筆)。
時間がないからといって適当に書いて提出すると面接で不利になるため早い段階から準備しましょう。
個人面接の評価基準
個人面接では、下記それぞれの観点に沿ってA~Eの5段階で評価します。
項目 | 着眼点 |
---|---|
資質 | ・教員としての適性があるか。 ・子どもへの教育的愛情があるか。 ・教育への情熱があるか。 ・明確な志望動機があるか。 ・困難に立ち向かう姿勢、粘り強さがあるか。 ・状況に応じた的確な判断力があるか。 |
表現力 | ・話の説得力があるか。 ・物事を的確に表現できているか。 ・論理的思考ができているか。 ・教員としての基礎的知識、専門性があるか。 ・柔軟な発想ができているか。 |
社会性 | ・協調性があるか。 ・社交性があるか。 ・明るさ、素直さがあるか。 |
その他 | ・場に適した服装、身だしなみや立ち振る舞いができているか。 ・適切な言葉づかいができているか。 ・教員としての職務の遂行が可能か |
なお、D評価以下がつくと筆記試験の点数が良くても不合格になるので注意しよう!
個人面接で聞かれた質問
面接で重要なことは、過去の傾向(質問内容)を知ることです。
なぜなら、聞かれる内容がわからないと何をどう準備すればいいかわからないからです。
たとえば、一般的に自己PRや志望動機はよく聞かれる項目です。でも、自治体によってはまったく質問されておらず、生徒指導や教育問題に関する質問ばかりってこともあるんですよね。
面接では頻出質問と予想外のツッコミ質問に回答することが求められます。
どれだけ答えられるか考えてみてください。
一次面接の質問
- あなたの強みは何ですか。
- 教員を志望する理由は何ですか。
- 教師として必要とされる資質は何ですか。理由も言ってください。
- 教師に活かせる経験はあるか。
- 教員をするうえで不安に思っていることはありますか。
- 教員を目指したきっかけは何ですか。
- 教師が不祥事を起こすと大騒ぎになりますが、なぜだと思いますか。
- 教育実習はどうでしたか。
- 教員になるうえでどんな思いがありますか。
- 教員になるうえで身に付けたい能力はありますか。
- 教育関連で気になるニュースはありますか。
- 大阪市の良いところはどこですか。
- 大阪市を志望した理由は何ですか。
- どのような学級づくりをしたいですか。
- 10年後のキャリアプランを教えてください。
二次試験の質問
- 理想のクラス像を教えてください。
- 保護者と関わる上で気を付けていることは何ですか。
- 併願している自治体はありますか。
- 部活動の指導で心掛けていることはなんですか。
- 不登校生徒にどのように対応しますか。
- 不登校児童にどのように対応するか教えてください。
- 長所と短所を述べよ。
- 大阪市の魅力は何ですか。
- 他の教師と意見が合わなかったとき,どうしますか。
- 信頼される教師になるためにはどうすればよいと思いますか。
- 授業に集中できない子どもに対して,どのように対応しますか。
- 児童生徒と関わる上で,大切だと思うことは何ですか。
- 指導可能な部活動はありますか。
- 子どもと関わる上で気を付けていることは何ですか。
- 今取り組んでいるあなたの課題は何ですか。
場面指導のテーマ
- 「運動会の選手決めで,息子がやりたくない種目に出ることになった。それが嫌だったみたいで,泣いている。どうにかして欲しい」との電話がありました。どう対応しますか。
- あなたは、クラスの担任です。授業を抜け出して保健室にいる生徒がいます。どう対応しますか。
- あなたは、部活動の顧問です。「来週の試合で、子どもがレギュラーになれなかった。もう部活を辞めたいと言っている」と父親から電話がありました。どう対応しますか。
- あなたはクラスの担任です。保護者から「6年生にランドセルを引っ張られるなどして、いじめを受けているようだ。学校に行きたくないと泣いている」と電話がありました。どう対応しますか。
- あなたは進学を控えた生徒がいるクラスの担任です。保護者から「この成績で志望校に合格できるか」と相談を受けました。どう対応します。
- あなたは特別支援学級の担任です。昼休みにAくん(男)がBちゃん(女)の顔に傷をつけてしまいました。どう対応しますか。
- あなたが担任をするクラスで、Aくん(男)から「Bちゃん(女)が臭いから席を変えてほしい」と相談されました。どう対応しますか。Bちゃんは家庭環境が複雑でネグレクト状態である。
こういった質問に箇条書きでもいいので、自分の考えを書いてみてください。
質問内容を知らずに志望動機ばかり考えていても直接的な対策にはなりません。効率よく対策するためにも過去問を把握しておくことが大切です。
- 個人面接は合否に大きく影響する
- コンピテンシー評価型面接で行われる
- 面接カードをしっかり作りこんで対策することが重要
大阪市教員採用試験 専門教科の傾向
専門試験は、教員として授業等を行う上で必要な専門的知識を問う筆記試験です。
志望する校種・教科に応じて試験問題が異なります。
実際に自分が教える教科なので、平均点は高くなる傾向にあるため、早めに準備をはじめることが大切です。
専門教科の科目
小学校 | 国語分野、社会分野、算数分野、理科分野、英語分野など |
---|---|
中高国語 | 現代文、古典分野など |
中高社会 | 地理、歴史、公民など |
中高理科 | 物理、化学、生物など |
中高保体 | 体育分野、保健分野など |
特別支援 | 特別支援教育に関する専門知識 |
養護教諭 | 養護に関する専門知識 |
試験時間は90分(小学校は120分)ですが、問題数は教科によって異なります。
出題方式は記述式なので、正確な知識が求められます。
専門教科のレベル(難易度)
専門試験は、中学〜高校までに習う部分が中心に出題されますが、大学の専門課程で学習するレベルの問題も出ています。
そのため、よく大学入試と比較されるのですが、大学入試と比べると、大学入試は広く深く、専門試験はやや広く浅くなので、大学入試のほうが難しいと感じる受験者は多いです。
とはいえ、教員採用試験は教科知識だけでなく学習指導要領からも出題があるため注意が必要です。
また、出題形式は記述式なので、択一式に比べると難度は高くなります。
専門教科の過去問
「大阪市教員採用試験の過去問はいつ使う?PDFまとめ」でまとめています。
出題形式やレベルの確認をしてみましょう。
専門教科の対策法
まずは、今の実力を把握するために問題を解いてみましょう!
なぜなら、実力によって勉強方法が変わるからです。
簡単にいうと、東大生と私大生(偏差値50)が同じ勉強をする必要はあるかということ。
同じ勉強をしても効率が悪いのでレベルに応じた対策をしましょう。
教員採用試験用の問題集を使って対策しましょう!
どの分野がよく出るのか、どのような問われ方をするのか理解できるからです。
大学入試とは傾向が異なるので、最初に教採専用の教材で傾向を知ることがポイント!
専門試験でオススメの参考書を「【2023年版】教員採用試験でオススメの参考書・問題集は?選び方のコツ」で紹介しています。
教採専用の教材は傾向把握には重宝しますが、高得点を取るには知識の穴が多いです。
そのため、必要に応じて大学受験用の教材をやることも一つの手です。
とはいえ、そこまで高得点が取れなくても合格できるので時間があればやってみましょう。
最後は全国の過去問を使って知識の総復習をしたり、模擬試験を活用したりしてください。
- 得意な人が集まるため平均点は高くなりがち
- 目標は最低7割
- 過今の学力によって対策方法が異なる
- 問題集を中心に多くの問題を解く
- 全国の過去問を使いながら得点力を鍛える
大阪市教員採用試験 実技試験の傾向
大阪市教員採用試験の実技試験は、教科・科目に関する実践力を備えているのか評価する試験です。
音楽や美術など、知識よりも技能を専門に教える教科を中心に行われています。
実技試験のある校種・教科
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校「英語、美術、音楽、保健体育」
実技試験の対策法
結論をいえば、十分に練習することです。
上記で示した内容をもとに、何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。
そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、内容に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。
そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
- 内容を把握して早めに練習する
- 実技試験は最低限のスキルチェックなのでできて当然
- 子供たちの手本になることを意識する
大阪市教員採用試験に合格する方法まとめ
大阪市教員採用試験の内容は幅広いため、「難しそうだな…。」と感じたかもしれませんが、この内容をしっかりと理解して対策していかなければ合格できません。
しっかりと試験の本質を理解して正しい努力をすればある程度の結果は見えてきます。
もちろん、何も傾向を理解せず適当に勉強するだけでは時間のムダになってしまいますが、この記事を見ているような勉強熱心なあなたなら大丈夫です!
確かに試験内容は多いですが、あなたはしっかり勉強したいという意思が強いので、適当に勉強しているその他大勢の人に負けるわけありません。
勤勉なあなたは結果を出すことができるので安心してノウハウを学んで、まずは対策に時間のかかる筆記試験から勉強をはじめていきましょう。
- 筆記試験:「筆答(教養試験)」「教科専門」
- 人物試験:「個人面接(場面指導含む)」「実技試験」
- 出題傾向を理解して効率よく対策することが最重要