- 福岡市教員採用試験の内容は何があるの?
- 福岡市教員採用試験の傾向は?。
- 福岡市教員採用試験はどうやって対策するの?
「福岡市教員採用試験の対策をはじめよう!」と思うものの、何からはじめていいかわかりませんよね。
そもそも、どんな試験があるのかどうかもよくわかっていない…。
教員採用試験は、自治体ごとに試験内容や出題される問題が違います。そのため、内容を知らずに対策することはNGです。
そこで本記事では、福岡市教員採用試験の具体的な内容と、試験ごとの傾向から対策方法まで解説します。
福岡市の教員になるには筆記対策と面接対策の両方が必要です。
今すぐにでも勉強を始めたいと考えている人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
※一般選考の内容をまとめています。
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福岡市教員採用試験の内容は?
福岡市教員採用試験は、大きく「筆記試験」と「面接試験」に分類できます。
試験は段階式で行われ、まず一次選考で受験者を篩にかけ人数を絞ります。その後、一次選考の合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定するという流れです。
試験の流れを知らない人は「【令和5(2023年度)】福岡市教員採用試験の日程はいつ?流れを解説」を参考にしてください。
まずは試験ごとに大まかな内容を把握しましょう。

令和5年度(2022年実施)の内容をまとめています。詳細は必ず要綱で確認してください。
一次試験の内容
- 教職・一般教養
- 専門教科
一次試験は筆記をメインに実施します。
二次試験の内容
- 個人面接
- 模擬授業
- 実技試験
二次試験は面接をメインに実施します。
配点
試験内容 | 配点 | |
---|---|---|
一次試験 | 教職・一般教養 | 50点 |
専門教科 | 50点 | |
二次試験 | 個人面接 | 90点 |
模擬授業 | 60点 | |
実技試験 | 可 or 不可 |
年度 | 合格率 | 受験者 | 合格者 |
---|---|---|---|
令和2年度 | 26.5% | 1434 | 381 |
令和3年度 | 43.5% | 1358 | 591 |
令和4年度 | 45.8% | 1331 | 610 |
全国的にみて合格率は高いですが、半分以上は落ちてしまいます。簡単に合格はできないので注意が必要です。
詳しくは「福岡市教員採用試験の倍率は低い?教科別に過去の推移を解説!」を参考にしてください。
福岡市教員採用試験の勉強時間はどれくらい?
合格までにどれぐらいの勉強期間・時間が必要なのか気になりますよね。
勉強時間が多いからといって合格に直結するわけではありませんが、落ちる人の多くは圧倒的に量が少ないです。
目安は700時間
勉強時間は700時間〜を目標としましょう。
1日2時間やれば1年程度で達成できる時間ですね。
学業や仕事と両立しながら合格を目指すことになるので、負担がなく、現実的に勉強できる計画を立てて実行することが重要。
- 1日2時間・・・350日(約1年間)
- 1日3時間・・・233日(約8ヶ月)
- 1日4時間・・・175日(約半年)
具体的な勉強方法は「【教員採用試験の勉強法】独学で合格したい初学者におすすめのやり方を完全解説」で解説しています。
短期集中がポイント
勉強時間の確保が難しい場合は、はやめに対策をはじめることにプラスして「効率性」を意識することが大切です。
どれだけ「量」をこなしても、「質」が伴っていないと効果減です。逆に「質」が良ければ、最低限の量をこなすだけで効果バツグン。
なので、できるだけ短期集中(9ヶ月ぐらい)で覚えていくことが重要です。
勉強を始めるタイミングについては「教員採用試験の勉強はいつから?合格に必要な勉強時間とスケジュールを解説」でも詳しく解説しています。
福岡市教員採用試験 教養試験の傾向
福岡市教員採用試験の教養試験は、「教職教養」と「一般教養」で構成される筆記試験です。
- 教職教養:主に教員として知っておくべき知識
- 一般教養:小学校から高校までに学んだ知識
要は科目の多い大学入学共通テスト(センター試験)のようなもので、その多くが高校までに学んだ内容です。
特徴は試験科目の多さで10科目以上もあるんですよね…。
教養試験の科目
科目 | 主な内容 | |
---|---|---|
教職教養 | 教育原理 | 学習指導要領や生徒指導など、教育の基礎知識、 |
教育法規 | 教育基本法や学校教育法など、教育関連の法令知識。 | |
教育心理 | 学習に関する心理過程や成長発達、教育評価などの知識。 | |
一般教養 | 人文科学 | 国語、英語 |
社会科学 | 政治、経済、環境 | |
自然科学 | 数学、化学、地学 |
これらの科目から25問出題されます。
試験時間は60分。
出題は「空欄補充」や「正誤問題」が多く、解答方式は択一式。5つの選択肢から正答を選んで解答します。
教養試験の出題レベル
難度はやや高めです。
というのも、出題形式は空欄補充の組合せですが、すべての空欄に解答できて、はじめて正解となるんです。
そのため、一つの空欄に当てはまる語句がわかっても、他の空欄がわからなければ点数はもらえないため簡単ではありません。
語群から空欄に当てはまる語句をそれぞれ選ぶ自治体に比べると難度は高いと言えるでしょう。
まずは主要科目や頻出分野を理解して勉強することがポイントです。
教養試験の対策法
ここまで解説したとおり教養試験は、科目が多く、出題範囲も広いため全科目に同じ時間を使って勉強してはいけません。
勉強するときのポイントは、次の2つ。
- 「主要科目から勉強すること」
- 「頻出分野から手をつけること」
主要科目から勉強する
福岡市教員採用試験で一番時間がかかる「主要科目」は教育原理だけです。出題数が多く、理解するのに時間がかかる、または物理的に量が多いというのが主要因です。
まずは、教育原理に絞って手をつけるのが先決!
教育原理にある程度メドが立たないと、合格点を取ることは厳しいので、最初は主要科目に絞って勉強することがポイントです。
つまり、主要科目の正答率が高ければ高いほど、その他の科目の負担が少なくなるので、効率よく勉強できます。逆に主要科目で点が取れないと、その他の科目でも点を取らなければいけなくなるため多くの時間がかかってしまうんですね。
頻出分野から手をつける
また、全範囲を勉強することはNGです。
なぜなら、すべての範囲から満遍なく出題されているわけではないから。
たとえば、教育法規の出題率を見ると6年連続で教育基本法から出題されています。逆に全国で頻出の学校教育法からはほとんど出ていません(2013~2022年度)。
使える時間は限られているのに、出ない範囲まで時間を使っても損ですよね。
これを間違えると、時間をたくさん使って勉強したのに点数が取れない、つまり不合格という悲惨な結末になってしまいます。
過去の出題傾向をしっかり把握しておけば、「どこから手をつければいいのか」なんて悩まなくてよくなります。
まずは試験に必要な全体像をつかみ、最重要箇所から勉強していくようにしましょう。
- 全科目・範囲を勉強することはNG
- 出題数の多い科目から手をつける
- 最重要箇所を把握して効率よく勉強する
福岡市教員採用試験 専門教科の傾向
専門試験は、教員として授業等を行う上で必要な専門的知識を問う筆記試験です。
志望する校種・教科に応じて試験問題が異なります。
実際に自分が教える教科なので、平均点は高くなる傾向にあるため、早めに準備をはじめることが大切です。
専門教科の科目
小学校 | 国語分野、社会分野、算数分野、理科分野、英語分野など |
---|---|
中高国語 | 現代文、古典分野など |
中高社会 | 地理、歴史、公民など |
中高理科 | 物理、化学、生物など |
中高保体 | 体育分野、保健分野など |
特別支援 | 特別支援教育に関する専門知識 |
養護教諭 | 養護に関する専門知識 |
問題数は教科によって異なります。
出題方式は選択式+記述式(教科による)なので、正確な知識が求められます。
専門教科のレベル(難易度)
専門試験は、中学〜高校までに習う部分が中心に出題されますが、大学の専門課程で学習するレベルの問題も出ています。
そのため、よく大学入試と比較されるのですが、大学入試と比べると、大学入試は広く深く、専門試験はやや広く浅くなので、大学入試のほうが難しいと感じる受験者は多いです。
とはいえ、教員採用試験は教科知識だけでなく学習指導要領からも出題があるため注意が必要です。
また、出題形式が記述式の科目は、択一式に比べると難度は高くなります。
専門教科の基準点(足切り)
教科ごとに基準点(足切り)があります。
科目 | 令和4年度 (2021年実施) | 令和3年度 (2020年実施) | |
---|---|---|---|
小学校 | 12.4 | 13.1 | |
中学校 | 国語 | 16.2 | 15.9 |
社会 | 14.2 | 12.7 | |
数学 | 15.8 | 16.9 | |
理科 | 13.4 | 13.8 | |
音楽 | 13.7 | 13.2 | |
美術 | 13.9 | 14.4 | |
保健体育 | 9.6 | 9.2 | |
技術 | 15.7 | 15.4 | |
家庭 | 14.2 | 11.6 | |
英語 | 18.2 | 18.5 | |
高校 | 地理 | 16.9 | 11.5 |
書道 | 17.9 | – | |
機械 | 12.0 | – | |
建築 | 16.0 | – | |
商業 | 10.0 | 14.4 | |
養護教諭 | 11.4 | 15.8 | |
栄養教諭 | 12.9 | 14.7 |
基準点に達しない場合は、他の試験科目の得点にかかわらず不合格になります。
専門教科の対策法
まずは、今の実力を把握するために問題を解いてみましょう!
なぜなら、実力によって勉強方法が変わるからです。
簡単にいうと、東大生と私大生(偏差値50)が同じ勉強をする必要はあるかということ。
同じ勉強をしても効率が悪いのでレベルに応じた対策をしましょう。
教員採用試験用の問題集を使って対策しましょう!
どの分野がよく出るのか、どのような問われ方をするのか理解できるからです。
大学入試とは傾向が異なるので、最初に教採専用の教材で傾向を知ることがポイント!
専門試験でオススメの参考書を「【2023年版】教員採用試験でオススメの参考書・問題集は?選び方のコツ」で紹介しています。
教採専用の教材は傾向把握には重宝しますが、高得点を取るには知識の穴が多いです。
そのため、必要に応じて大学受験用の教材をやることも一つの手です。
とはいえ、そこまで高得点が取れなくても合格できるので時間があればやってみましょう。
最後は全国の過去問を使って知識の総復習をしたり、模擬試験を活用したりしてください。
- 得意な人が集まるため平均点は高くなりがち
- 目標は最低7割
- 今の学力によって対策方法が異なる
- 問題集を中心に多くの問題を解く
- 全国の過去問を使いながら得点力を鍛える
福岡市教員採用試験 個人面接の傾向
個人面接では、 筆記試験では判断できない受験者の人間性や教員への資質・適性、志望意欲などを評価する人物試験です。
面接形態は「個人面接」で、面接官3人に対して受験者が1人で行います。
試験時間は20分程度で、過去の経歴や経験、志望動機から今後の抱負まで幅広い質問に回答しなければいけません。
面接カード(自己アピールシート)
面接カード(自己アピールシート)とは、面接で使用する資料のことです。
面接官は提出された面接カードを見ながら、内容とあなたが一致する人物かどうかを判断します。なので、内容がよくわからなかったり、汚かったりすると質問できません。
何も聞かれないということは、あなたに興味がない=合格は厳しいですよね。面接官に興味を持ってもらえるように、自己PRシートは丁寧に書くことが大切です。
(2023年度の)主な内容は以下のとおり。
- 教員を志した動機(200字程度)
- 福岡市を志願した理由(200字程度)
- 教員にとって一番大切だと思うもの及びその理由(200字程度)
- 学校で活かせると思う得意分野やPRしたいこれまでの経験(200字程度)
- これまでの経験で苦労したことや失敗したこと。また、その経験を踏まえて学んだことや心がけていること(200字程度)
面接カード(自己アピールシート)は事前にホームページからダウンロードして、期限までに提出しなければいけません。
時間がないからといって適当に書いて提出すると面接で不利になるため早い段階から準備しましょう。
自己PRや志望動機の作り方を知ろう!さらに詳しく。
個人面接の評価基準
個人面接では、面接官それぞれが下記の観点に沿ってA~Dの4段階で評価します。
- 教育的愛情
- 向上心
- 社会性
- コミュニケーション能力
最終的に面接官(3人)の評価を合わせて、90点に換算します。
なお、D評価がつくと不合格が決定するので気をつけましょう。
個人面接の過去問(質問)
面接で重要なことは、過去の傾向(質問内容)を知ることです。
なぜなら、聞かれる内容がわからないと何をどう準備すればいいかわからないからです。
たとえば、一般的に自己PRや志望動機はよく聞かれる項目です。でも、自治体によってはまったく質問されておらず、生徒指導や教育問題に関する質問ばかりってこともあるんですよね。
質問内容を把握しているかどうかで面接対策の効率が違ってきます。実際に聞かれた質問を抜粋してまとめているので、 どれだけ答えられるか考えてみてください。
- あなたが教員に向いていると思う長所はありますか。
- あなたには、教育公務員としての資質は備わっていますか。
- あなたの強みが活かされた経験を教えてください。
- あなたの弱みを教えてください。
- 今までの人生で、一番大変だったことは何ですか。
- 教師は忙しいですが、大丈夫ですか。
- 教師を志望した理由は何ですか。
- 教師を目指したきっかけを教えてください。
- 志望する校種を選んだ理由は何ですか。
- 地元を離れて福岡市で働きたい理由は何ですか。
- あなたはどんな人だと思われていますか。
- イライラして、機嫌が悪くなることはないですか。
- 学校に対する不満はありますか。
- コミュニケーションで困った経験はありますか。
- 自己啓発で何かしていますか。
こういった内容を知らずに志望動機ばかり考えていても直接的な対策にはなりません。
効率よく対策するためにも過去問を把握しておくことが大切です。
勉強のスキマ時間を使いながら少しずつ考えてみてください。
- 個人面接は合否に大きく影響する
- コンピテンシー評価型面接で行われる
- 面接カードをしっかり作りこんで対策することが重要
自己PRシートの作成から過去の質問まで集約!さらに詳しく。
福岡市教員採用試験 模擬授業の傾向
福岡市教員採用試験の模擬授業は、与えられたテーマに沿って「学習指導案の作成→授業→質問(口頭試問)」を行います。
評価を上げるには教科に関する専門知識の他に「授業構想力」や「学習指導力」などが必要です。
模擬授業の流れ
令和4年度の内容をもとに流れを解説します。
試験当日にテーマが発表されます。
テーマをもとに1単位分の学習指導案を作成。試験時間は30分です。
なお、25~35人程度の児童生徒がいる想定での実施。
この指導案をもとに模擬授業を行います。
作成した指導案をもとに10分間の模擬授業を行います。
黒板(ホワイトボード)を使用する必要がありますよ。板書も評価されるので気をつけてください。
また、面接官が授業中に質問することもあるためしっかり対応してください。
最後に、模擬授業や学習指導案について質問されます。
すべての質問に回答したら終了です。
板書も使えるので上手く使っていきましょう!
模擬授業の評価基準
模擬授業は面接官それぞれが下記の観点に沿ってA~Dの4段階で評価します。
- 教科等に関する専門知識
- 授業構想力
- 学習指導力
- 生徒指導力
なお、D評価がつくと不合格が決定するので気をつけましょう。
模擬授業の対策法(ポイント)
模擬授業の流れやテーマがわかったら、いよいよ対策をはじめると思います。
模擬授業で意識するポイントは次の3つです。
- 児童・生徒の視点を大切にする
- 面接と同じで印象が重要
- 客観的な姿をみて練習
ポイント①:児童・生徒の視点を大切にする
模擬授業では、ただ授業ができればいいわけではなく、「どれだけ子どもたちの興味・関心を惹けるか」が重要です。
よく「講師経験があると有利」みたいに言われていますが、あまり関係ありません。授業方法や専門知識の量、講師経験の有無など受験者によって違いますもんね。なので、模擬授業をするときには、「どんな先生が子どもたちに人気があるのか」を意識して演じる必要があるわけです。
アンケートによると「面白い・楽しい先生」が人気みたいですよ。淡々と知識を教えるだけの先生は求められていないってことです。
ポイント②:面接と同じで印象が重要!
専門知識や授業構成力などの内容も重要ですが、あくまでも試験なので「印象」が超大事です!
例えば「教科書の7ページを開いてください」という動作。
「声に出すだけ」なのと「体全体を使って表現」するのとでは、まったく印象は違いますよね。
とくに小学生の低学年を対象にするのであれば、動作を大きくして授業したほうが子どもたちからすれば楽しいはず。もちろん、本当の授業ではする必要はありませんが、あくまでも試験なのでそれくらいしたほうが評価はよくなります。
- 表情や声の大きさ
- 話し方
- 話す速度
などを練習の段階から意識することが大切です。
ポイント③:客観的な姿を見て練習
模擬授業は自己満足では意味がありません。
声の大きさや表情、板書のわかりやすさなどは第三者の意見がすべてだからです。
一番は勤務先の先生や大学の教職課に見てもらうことが一番ですが、一人でも授業を録画するなどして対策はできます。大切なのは印象ですから繰り返し練習することが大切ですよ。
ただ授業構成を考える対策では高評価をもらうことは難しいです。どんな先生が求められているのか理解しながら対策してください。
- 試験時間は、構想+実演で11分。
- 人間性や情熱が重要
- 板書にも注意する
福岡市教員採用試験に合格する方法まとめ
福岡市教員採用試験の内容は幅広いため、「難しそうだな…。」と感じたかもしれませんが、この内容をしっかりと理解して対策していかなければ合格できません。
しっかりと試験の本質を理解して正しい努力をすればある程度の結果は見えてきます。
もちろん、何も傾向を理解せず適当に勉強するだけでは時間のムダになってしまいますが、この記事を見ているような勉強熱心なあなたなら大丈夫です!
確かに試験内容は多いですが、あなたはしっかり勉強したいという意思が強いので、適当に勉強しているその他大勢の人に負けるわけありません。
勤勉なあなたは結果を出すことができるので安心してノウハウを学んで、まずは対策に時間のかかる筆記試験から勉強をはじめていきましょう。
- 筆記試験:「教養試験」「教科専門」
- 人物試験:「個人面接」「模擬授業」「実技試験」
- 出題傾向を理解して効率よく対策することが最重要