教員採用試験は自治体によって試験内容が異なります。
そのため、教員採用試験全般の内容を鵜呑みにして対策することはNGです。一般的には必要な試験種目でも、兵庫県では必要ないってことがあるんですよね。
そこで本記事では、これから対策を始める方向けに兵庫県教員採用試験の内容や傾向を解説します。
簡単な試験概要もまとめているので参考にしてくださいね。
兵庫県教員採用試験の概要
兵庫県教員採用試験は、兵庫県教育委員会が行う公務員試験の一つです。兵庫県内の公立学校(小学校、中学校、高等学校など)の教員を募集するために実施されます。

神戸市内の公立学校で働きたいなら、神戸市教員採用試験を受験しないとダメです!
まずは簡単に試験概要を紹介します。
受験資格(年齢制限)
教員採用試験は資格試験と違い、誰でも受験できるわけではありません。受験するには一定の基準を満たす必要があります。
令和5年度の受験資格は以下のとおり。
- 欠格事由(地方公務員法第16条及び学校教育法第9条)に該当しない
- 志望校種,教科に相当する教諭の免許状もしくは養護教諭,栄養教諭の免許状を所有もしくは令和5年3月31日までに取得見込み
- 昭和38年4月2日以降に生まれている
1~3を満たす必要があります。
なお、他自治体の年齢制限を確認したい人は以下の記事でまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
募集科目と採用人数
2023年度(令和5年度=2022年実施)は全体で980人の採用を予定しています。
昨年度は1,015名だったので、35人減ることになりますね。
校種ごとの採用予定人数と募集科目は以下のとおり。
校種 | 教科 | 採用数 |
---|---|---|
小学校 | – | 350 |
中学校 | 国語(43)、社会(28)、数学(42)、理科(30)、音楽(13) 美術(20)、保健体育(22)、技術(12)、家庭(13)、英語(47) | 290 |
高等学校 | 国語(30)、地理歴史・公民(31)、数学(32)、理科(16) 音楽(2)、美術(5)、書道(2)、保健体育(25)、家庭(8) 英語(45)、工業(15)、農業(2)、商業(12)、看護(3) 情報(7)、福祉(4)、水産(1) | 240 |
特別支援 | – | 60 |
養護教諭 | – | 35 |
栄養教諭 | – | 5 |
なお、採用人数や募集科目は退職者や児童・生徒数によって変動するため、募集がない場合もあります。
小学校や中高の主要教科は問題ないと思いますが、それ以外の科目は必ず募集があるわけじゃないことは覚えておきましょう。
試験種目(内容)
試験は大きく「筆記試験」と「面接試験」に分類できます。
選考は段階式で行われ、まず一次選考で受験者を篩にかけ人数を絞ります。その後、一次選考の合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定するという流れです。
詳細は以下のとおり。
※一般選考の場合。
選考 | 試験種目 |
---|---|
一次選考 | 一般教養 専門教科 集団面接 |
二次選考 | 個人面接 模擬授業 実技試験 |
詳しい内容や傾向は後述しています。
》一次試験の詳細はこちら
》二次試験の詳細はこちら
選考スケジュール(試験日程)
(4月上旬)
募集教科や採用人数、試験種目などの詳細がアナウンスされます。内容変更がある場合もあるので必ず隅々まで確認してください。
(4月中~5月中旬)
電子申請(インターネット)による出願申込が始まります。
(6月下旬〜7月下旬)
試験内容は一般教養、教科専門、集団面接が2日かけて実施されます。
(8月上旬)
郵送及びホームページに受験番号を掲載。
(8月中旬~下旬)
試験内容は、個人面接、模擬授業、実技試験が実施されます。
(9月下旬)
郵送及びホームページに受験番号を掲載。
なお、兵庫県教員採用試験の最新日程は以下の記事でまとめています。
実施状況(選考結果)
ここでは、2019年度~2023年度までの倍率推移をまとめています。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
2019 | 5,726 | 853 | 6.7 |
2020 | 5,237 | 906 | 5.8 |
2021 | 5,241 | 971 | 5.4 |
2022 | 4,740 | 1,029 | 4.6 |
2023 | 4,532 | 989 | 4.6 |
》兵庫県教員採用試験の教科別倍率は以下の記事でまとめています。教科によって倍率の高低差は違うので、志望教科の結果は知っておきましょうね。
兵庫県教員採用試験 一次試験の内容と傾向
ここでは、兵庫県教員採用試験の一次試験の内容と傾向を解説しています。
一次試験は筆記試験がメインです。
「教員採用試験=人物重視」という傾向にありますが、対策の大半を勉強に充てなければなりません。試験科目を的確に捉え、出題傾向をつかんで対策しましょう。
一次試験の内容は以下のとおり。
※一般選考の場合
- 一般教養
- 専門教科
- 集団面接
一般教養
一般教養の内容は大きく2つに分類されます。
1つは教師として働く上で必要となる学習指導要領や法令などの教師力を測る「教職科目」、もう一つは、高校までに習った基礎学力を測る「一般教養科目」です。
▼一般教養の傾向▼
試験時間 | 60分 |
問題数 | 50問(必答) |
出題形式 | 択一式(マークシート方式) |
試験科目 | 教育原理(教育時事を含む) 教育法規 教育心理 人文科学 社会科学 自然科学 |
配点 | 100点満点 |
要は科目の多い大学入学共通テスト(旧センター試験)のようなもので、その多くが大学の教職課程や高校までに学んだ内容です。
▼こんな問題が出ますよ▼




一度は勉強したことがある科目ばかりなので馴染みはあると思います。しかし…出題範囲がとても広いので、どの分野が多くでるのか、どの分野は苦手なのか、出題傾向を理解したうえで勉強することがポイントです。
また、教育時事や教育施策(兵庫県の教育制度や教育関連のニュースのこと)に関する問題もあります。
そのため、兵庫県教育委員会や文部科学省のホームページを見たり、新聞を読んだりして、普段の生活から情報収集をしておきましょう。
具体的な勉強方法は以下の記事で解説しています。
専門教科
志望する校種・教科の専門知識や学習指導要領の理解度を測る択一式の筆記試験です。
▼教科専門の傾向▼
試験時間 | 60分 |
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式、記述式 |
配点 | 200点 |
問題レベルは高校~共通テスト(旧センター試験)ぐらいなので、今まできちんと勉強してきた人からすれば難度は高くありません。
▼こんな問題が出ますよ▼




しかし、一部の問題は記述式になっているので正確な知識が必要です。
まずは志望する校種・教科の過去問を解いてみて、現在の実力を確認しましょう。そうしないと、何を対策すればいいか判断できません。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
こんな感じで考えるといいですよ。
専門教科の対策方法は以下の記事で詳しくまとめています。参考にしてください。
集団面接(討論)
複数人の受験者同士が1つのグループになり、与えられたテーマにそって討論する(話し合う)試験です。
▼集団面接の傾向▼
試験時間 | 15分程度 |
人数 | 5人 |
配点(評価) | 100点 |
▼こんなテーマが出たよ▼
- 教員としての資質向上
- 情報モラル教育の必要性
- 児童生徒の可能性を引き出す指導
集団討論では、自分の意見を言い、他の受験者の意見を受け入れ、それらを組み合わせて最適な解決策を見つけることが求められます。
自分一人だけが目立つのではなく、周りのメンバーと協力する姿勢で臨みましょう。
以下の記事で傾向や対策方法を解説しています。
兵庫県教員採用試験 二次試験の内容と傾向
二次試験は人物試験です。教採=面接重視なので、面接試験でどれだけ点数を稼ぐかが最終合否に大きく関わってきます。
努力に比例して成果が見える一次試験とは違い、面接試験は質の高い練習が必要です。適当にダラダラ練習しても効果は薄いので気をつけましょう。
二次試験の内容は以下のとおり。
- 個人面接
- 模擬授業
- 実技試験
個人面接
個人面接では、 筆記試験では判断できない受験者の人間性や教員への資質・適性、志望意欲などを評価する人物試験です。
▼個人面接の傾向▼
試験時間 | 25分程度 ※養護教諭は32分 |
面接官 | 3人 |
質問内容 | ①志望動機、教職関連 ②自己PR、仕事意識 ③模擬授業、場面指導 |
面接カード | あり ※出願のときに提出する志願書 |
配点(評価) | 180点満点 |
▼こんな質問が聞かれたよ▼
- 長所を活かして、どんな指導ができますか。
- 今、努力していることはありますか。
- あなたの、どこが教員に向いていると思いますか。
- 1分間で自己PRをしてください。
- 教員を志望する理由は何ですか。
- 教員を目指したきっかけは何ですか。
- 兵庫県の教員を志望する理由は何ですか。
- 志望する校種の理由は何ですか。
- 担任を持ちたいと思いますか。また、何年生がいいですか。
- 部活動経験から生徒に教えたいことは何ですか。
- 教員の義務を言ってください。
- 兵庫県のいじめの定義を知っていますか。
- 持っている資格を教えてください。
- 最近気になるニュースはありますか。
- 休日はどのように過ごしていますか。
- PC操作はどのくらいできますか。
個人面接では、1人の受験者に対して集中してチェックできるため、面接官は様々な観点から評価することができます。
集団面接とは違い、受験者は自分一人だけなので緊張しやすい形式ですが、他の受験者がいないことから集中でき、自分をアピールしやすいという利点があります。
面接は練習量に比例して徐々に上達するので、苦手意識が少しでもある人は早めに準備してください。
面接練習をすることで、
- 自分の長所や短所
- なぜ教員になりたいのか
- 教員になって何がしたいのか
といった部分を改めて確認できます。自分と向き合う良い機会なので、時間をかけてじっくり取り組んでいきましょう。
個人面接の過去問や対策方法は以下の記事を参考にしてください。
模擬授業
与えられた課題をもとに授業計画を考え、実際に授業を行う試験です。
※養護教諭は模擬保健指導。
▼模擬授業の傾向▼
試験時間 | 15分 |
テーマ | 事前告知 ※兵庫県教委HP上で公開されます。 |
面接官 | 3人 |
配点(評価) | 120点満点 |
▼こんなテーマが出たよ▼
【小学校】
○国語(詩、随筆、近代以降の文語文)
○社会(我が国の農業や水産業における食料生産、我が国の歴史上の主な事象)
○算数(小数、分数、図形)
○理科(磁石の性質、雨水の行方と地面の様子、植物の発芽・成長・結実、てこの規則性)
※対象は小学校3~6年生。
試験当日、左記の内容の分野から、具体的な教材を1つ提示します
面接官を児童・生徒に見立てて自分のイメージで授業します。
児童・生徒役がいないので、自分の想定通りに進めることができるため準備さえしておけばスムーズに行うことができますが、面接官はほとんど反応しないため、やりにくく緊張感も増しやすくなります。
とくに指導経験がない受験者だと、実際の授業のテンポ・展開とはかけ離れたものになっても気づきにくい点が難しいといえるでしょう。
以下の記事で過去のテーマや対策のコツを解説しています。
実技試験
教科・科目に関する実践力を備えているのか評価する試験です。
以下の校種・教科を対象に実施されます。
- 小学校
- 中学校(音楽、家庭、理科、保体、英語、美術、技術)
- 高校(音楽、家庭、理科、保体、英語、美術、工業、書道、商業、情報)
- 特別支援(上記科目)
- 養護教諭
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。
そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
以上が兵庫県教員採用試験の内容です。
兵庫県教員採用試験に合格するには「求める教師像」の理解が必須
教育方針や学校の規模は自治体によって違います。そのため、求められている資質や能力も自治体によって様々です。
当然、志望先に見合った人物でないと採用されることはありません。なので、必ずどんな人物(人間)が求められているのか把握してください。
兵庫県教育委員会では、5つの求める教師像を提示しています。
- 教育に対する情熱・使命感をもち、児童生徒に愛情をもって接することができる
- 教養、社会性、コミュニケーション力、想像力等の総合的な人間性を備えている
- 高い倫理観と規範意識をもち、自らの人権感覚を高めることができる
- 児童生徒、保護者や地域の方々と公正・公平な立場で対応することができる
- 常に学び続ける姿勢をもち、新たな課題へ挑戦することができる
「このような人物を求めている」という採用側からのメッセージなので、必ず把握、理解するようにしましょう。
参考資料》兵庫県教員資質向上指標
筆記試験で出ることはありませんが、面接試験では内容を問われています。まったく回答できないと「本当に兵庫県で働きたいのかな…?」と面接官に悪い印象を与えかねません。
極端にいえば、一定の学力があり、これらの教師像にあなたの人物像がマッチしていれば合格です。
兵庫県教員採用試験でよくある質問FAQ
最後によくある質問と回答を紹介します。
配点はどれくらいですか?
一般教養 | 100点 |
専門教科 | 200点 |
集団面接 | 100点 |
個人面接 | 180点 |
模擬授業 | 120点 |
実技試験 | 100点〜150点 |
なお、最終合否は一次試験の結果は反映されず、二次試験の結果のみで決定します。
時間の多くを筆記試験の対策に充てると思いますが、一次試験を突破すれば満点でもボーダーギリギリでも同じです。ここを意識して計画を練ってくださいね。
試験に落ちたらどうすればいいですか?
- 常勤講師(臨時的任用教員)
- 非常勤講師(時間講師)
講師として教育現場で働きながら、次年度の採用試験を目指しましょう。
なお、現職教員の空き状況によって、常勤か非常勤か決まるので希望する形態で働けるかはわかりません。
筆記試験の合格ラインはどれくらいですか?
問題レベルや採用人数によって合格ラインは変動するので断言できませんが、一般教養+専門教養の合計が6割〜8割が目安です。
過去問はどこで見れますか?
試験問題と解答は、兵庫県教育委員会のHPで閲覧・ダウンロードできます。
解説はないので本格的な勉強はできませんが、出題内容や形式、レベルの確認に最適です。
以下の記事でまとめているので、参考にしてください。
まとめ|試験内容と傾向を理解して対策を始めよう!
今回は兵庫県教員採用試験の内容や、採用試験の概要・傾向までまとめて紹介しました。
何となく試験対策を始める方は多いと思いますが、本気で兵庫県の教員になりたい(合格したい)なら次のポイントを理解することが大切です。
- やみくもに、適当に勉強しない
- 出題傾向を踏まえて効率よく対策する
- 面接や小論文を軽視しない
繰り返しになりますが、倍率だけを見ればメチャクチャ難しいことはありません。しかし、試験科目は多く、試験種目も幅広いため簡単に合格はできません。
試験内容や傾向を理解して、戦術を持って対策を始めてみてください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!