福岡県教員採用試験の中で特に厄介なのが、今回解説する教職・一般教養。
なんとなく情報を集めて勉強を始めたものの、「結局、何から手をつければいいの?」と悩む方がほとんどでしょう。
そこで今回は、福岡県教員採用試験の教職・一般教養について、試験科目から出題傾向まで徹底解説します。
福岡県教員採用試験の内容は幅広いので、教職・一般教養は効率的・効果的に勉強していきましょう。
【概要】福岡県教員採用試験の教職・一般教養とは?
福岡県教員採用試験の教職・一般教養とは、教育に関する基本的な知識や高校までに学んだ基礎学力を測る筆記試験のことです。
校種・教科によって問題が異なる専門試験とは違い、全員が同じ問題を解きます。
教職・一般教養の試験時間と問題数
試験時間 | 50分 |
---|---|
問題数 | 25問 |
問題数25問に対して、試験時間は50分しかありません。
1問に2分以上かけていると時間に間に合わないので、各問題にかける時間をしっかりと配分することが重要です。
教職・一般教養の出題形式
教職・一般教養の出題形式は択一式です。
5つの選択肢の中から、各設問における正誤を判断したり、
空欄に当てはまる語句の組み合わせを選んだりします。
いずれの出題形式も、すべての正誤(空欄)に正答できて、はじめて得点になるため難度は少し高めです。
教職・一般教養の配点
教職・一般教養の配点は50点満点です。
1問2点×25問で計算されます。
得点目標は25点以上
得点目標としては、まず「30点以上(15/25問)」というのが第一目標です。合格者の多くがこの程度を取ってきます。
目標は30点。実際は26点程度でOKです。
教職・一般教養の1問に深入りするより、3倍の配点である専門試験を極めることが大切。くれぐれも科目間の重要性と勉強時間の配分を間違えないように注意しましょう。
教職・一般教養の試験科目
福岡県教員採用試験の教職・一般教養は、教育に関する知識を問う「教職科目」と高校までに習った「一般教養科目」で構成されています。
教 職 科 目 | 教育原理 | 教育の基本的な理念や目的、さまざまな教育理論を問う科目 |
---|---|---|
教育法規 | 教育に関連する法律や規則の理解力を測る科目 | |
教育心理 | 学習理論、生徒の発達段階、動機づけや認知のプロセスに関する科目 | |
教育史 | 日本や世界の教育の変遷、重要な教育改革や教育思想の流れに関する科目 | |
一 般 科 目 | 人文科学 | 国語や英語の基礎学力を測る科目 |
社会科学 | 政治経済の基礎学力を測る科目 | |
自然科学 | 数学や理科の基礎学力を測る科目 | |
他 | ローカル | 福岡県の教育施策や制度、取り組みに関する科目 |
一般常識 | 社会人として知っておくべき一般常識や時事に関する科目 |
試験科目は多いので、適当に勉強を始めるのはNGです。
次の科目別出題数を参考にし、どの科目から勉強するのか考えてみましょう。
採用年度 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|
教育原理 | 11 | 12 | 12 |
教育法規 | 3 | 2 | 4 |
教育心理 | 1 | 1 | 1 |
国語 | 2 | 2 | 2 |
英語 | 1 | 1 | 1 |
政治 | 1 | 1 | 1 |
経済 | 2 | 1 | 1 |
国際関係 | – | 1 | – |
環境 | 1 | 1 | 1 |
数学 | 1 | 1 | 1 |
化学 | 1 | – | – |
地学 | – | 1 | – |
その他 | 1 | 1 | 1 |
- 本試験問題より作成
- 上記の科目別出題数は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
教職・一般教養の試験内容について、詳しくは次の記事でも解説しています。初めて教員採用試験を受験する方は参考にしてください。
【福岡県教員採用試験】教職・一般教養の出題傾向
科目によって出題数が違うように、出題分野にも傾向(よく出る・よく出ない)があります。
ここでは、試験科目ごとに出題傾向を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
教育原理の出題傾向
教育原理は、次の12分野で構成されています。
- 教育の意義と目的
- 教育方法
- 学習指導要領
- 道徳教育
- 特別活動
- 生徒指導
- 特別支援教育
- 人権・同和教育
- 社会教育
- 生涯学習
- 学校と学級
- 教育時事
このうち、もっとも出題されている分野は「12.教育時事」です。10年間連続(22問)出ています。
全国的に教育時事の出題は増加傾向にあることからも、引き続き出題されると言えるでしょう。
その他にも「6.生徒指導」がよく出題されています。併せて確認してください。
教育法規の出題傾向
教育法規は、次の8分野で構成されています。
- 教育法規の概要
- 日本国憲法
- 教育基本法
- 学校に関する法規
- 学校教育に関する法規
- 児童生徒に関する法規
- 教職員の法規
- 教育行政等の法規
このうち、もっとも出題されている分野は「2.教育基本法」です。過去10年間で8回(8問)出ています。
教育法規自体の出題数は多くありませんが、その中でも教育基本法は、今後も引き続き出題される可能性があると言えるでしょう。
その他にも「5.学校教育に関する法規」もよく出題されています。併せて確認してください。
教育心理の出題傾向
教育心理は、次の6分野で構成されています。
- 教育心理学の歴史や意義
- 発達の理論
- 学習の理論
- 人格と適応
- 学級集団
- 教育評価
このうち、もっとも出題されている分野は「3.学習の理論」です。直近3年間で2回(2問)出ています。
教育心理は出題数も少なく、あまり傾向をつかめないことから、試験前に短期集中で詰め込むくらいがちょうど良いでしょう。
教育史の出題傾向
教育史は、次の7分野で構成されています。
- 西洋教育史(古代・中世)
- 西洋教育史(近世)
- 西洋教育史(近代・現代)
- 日本教育史(古代・中世)
- 日本教育史(近世)
- 日本教育史(近代・現代)
- 西洋・日本総合
2015年度に1問出て以降、教育史からの出題はありません。
今後も出題されることはないと予測できるので、全国の過去問を使って勉強するときに軽く覚えておく程度で良いでしょう。
人文科学の出題傾向
人文科学は、次の6分野で構成されています。
- 国語
- 英語
- 倫理
- 音楽
- 美術
- 保健体育
このうち、もっとも出題されている分野は「1.国語」です。過去10年間で10回(16問)出ています。
国語の中でも、とくに出題率の高いのは「ことば(ことわざや慣用句)」に関する問題です。9年連続で出ているので、今後も引き続き出題される可能性が高いです。
その他にも「2.英語(とくに会話文)」がよく出題されています。併せて確認してください。
社会科学の出題傾向
社会科学は、次の7分野で構成されています。
- 世界史
- 日本史
- 地理
- 政治
- 経済
- 国際関係
- 環境
このうち、もっとも出題されている分野は「4.政治」です。過去10年間で10回(12問)出ています。
政治の中でも、とくに出題率の高いのは「日本国憲法(基本的人権)」に関する問題です。10年連続で出ているので、他の分野に比べると出題される可能性は高いです。
その他にも「5.経済(とくに労働問題や社会保障)」がよく出題されています。併せて確認してください。
自然科学の出題傾向
自然科学は、次の6分野で構成されています。
- 数学
- 物理
- 化学
- 生物
- 地学
- 情報
このうち、もっとも出題されている分野は「1.数学」です。過去10年間で10回(10問)出ています。
数学の中でも、とくに出題率の高いのは「確率・場合の数」に関する問題です。10年間で4回出ているので、他の分野に比べると出題される可能性は高いです。
その他にも「5.地学(とくに太陽系と宇宙)」がよく出題されています。併せて確認してください。
ローカル・その他の出題傾向
その他にも、福岡県の教育施策や制度、一般常識・時事などに関する出題があります。
幅広い資料から出題されるので、傾向を掴むのは困難です。
深入りするのはコスパが良くないので、時間を見つけて福岡県の資料(教育委員会HP)を見たり、ニュース・新聞を読んだりする習慣をつけましょう。
福岡県教育委員会HPの検索窓に「〇〇 取組み」や「〇〇 資料」と入力して検索すれば色々出てきますよ!
なお、より詳しい出題傾向を次の記事で解説しています。効率的・効果的に勉強したい方は参考にしてください。
【福岡県教員採用試験】教職・一般教養でよくある質問FAQ
最後に、福岡県教員採用試験の教職・一般教養で、よく相談される質問に回答しています。
教職・一般教養でオススメの参考書・問題集はありますか?
結論、「セサミノート」をオススメします。
セサミノートは、書き込み(穴埋め)式の参考書兼問題集なので、狙われやすい語句やポイントが把握しやすいです。
同シリーズの参考書や問題集も併用して使えば、効率的・効果的に知識を覚えられます。
もちろん、教員採用試験の参考書・問題集は数種類あるので、合う合わないがあります。店頭まで足を運び、自分の目で確かめて、合うものをチョイスしましょう。
教職・一般教養はいつから勉強すればいいですか?
結論、専門試験の勉強がある程度進んだら始めましょう。
なぜなら、専門試験は得意な人が多く、配点が高いからです。
教職・一般教養 | 専門教科 |
---|---|
50点満点 | 150点満点 |
早い段階から専門試験対策に集中すれば、点数を取れる可能性が高まりますよね。
とはいえ、教職・一般教養は専門試験と比較して出題範囲が膨大。そのため、完全に後回しにすると試験直前に大量の知識を覚えなくてはいけず詰みます。
したがって、教職・一般教養は専門試験の学習がある程度進んだ後に本格的に取り組むといいでしょう。
教職・一般教養の過去問はありますか?
結論、過去問はあります。
福岡県教員採用試験の過去問題と解答は、県情報センターで閲覧・コピーできます。
解説はないので本格的な勉強はできませんが、出題内容の確認だったり、レベルの把握だったりは十分にできます。ぜひ、活用しましょう。
その他に質問があれば、教採ギルド公式LINEより相談してください。
【福岡県教員採用試験】教職・一般教養は独学で勉強できるか
結論、福岡県教員採用試験の教職・一般教養は独学でも十分に勉強できます。
なぜなら、
からです。
初めて目にする科目ばかりなので、決して簡単な試験ではありません。しかし、出題傾向も、参考書も、過去問も、簡単に揃えることができます。
あとは、愚直に勉強するだけ。
したがって、しっかりと対策を行えば独学でも合格点を取れる試験であると言えるでしょう。
今回は以上です。