今回は、神戸市教員採用試験の内容と傾向・対策方法を徹底解説します。
日々の学校や仕事で忙しい中、効率よく試験対策できるかどうかは、選考内容や傾向をどれだけ理解しているかが重要です。
本記事を読めば「試験の全体像から最終合格するには何をすればいいかまで」網羅的に理解できますよ。
※全国の試験内容を「【令和6年度採用】教員採用試験の内容一覧を解説【全国66自治体】」で紹介しているので、併願を考えている人は参考にしてください。
神戸市教員採用試験の内容
神戸市教員採用試験は、神戸市内の公立学校で働く正規教員を決める公務員試験のひとつです。
ここでは、受験資格や試験科目などの内容を解説します。
求める教師像
教育方針や学校の規模は自治体によって違います。そのため、求められる資質や能力も様々です。
神戸市が求める教師像は次のとおりです。
- 豊かな人間性にあふれ、子供に寄り添うことができる人
-
子供に対する深い愛情と思いやりを持ち、いかなる困難にあっても子供の笑顔と成長につながる選択をできる人を、私たちは求めています。
- 自律心を備え、多様性を尊重し、 協調 ・協働できる人
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常に高い倫理観と規範意識に基づいて行動するとともに、多様な他者との対話やつながりを深め、互いを理解し尊重しながら、協調・協働できる人を、私たちは求めています。
- 自らの資質・能力向上のため、学び続けることができる人
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時代の変化とともに学校教育に求められる役割や課題が多様化するなか、自己研鑽のために努力し続けることができる人を、私たちは求めています。
「このような人物を求めている」という採用側からのメッセージです。必ず把握、理解しましょう。
受験資格(年齢制限)
神戸市教員採用試験を受験するには、次の1から3の全てを満たしている必要があります。
募集教科と採用人数
令和6年度採用(2023年実施)試験では、全体で320人の採用を予定しています。
詳細は次のとおり。
校種 | 教科(科目) | R6 | R5 |
---|---|---|---|
幼稚園 | 数名 | 数名 | |
小学校 | 140 | 120 | |
中高 | 国語・社会・数学・理科・音楽・美術・保健体育・技術・家庭・英語・工業・商業 | 130 | 100 |
特別支援 | 40 | 30 | |
養護教諭 | 10 | 5 | |
栄養教諭 | 数名 | 数名 |
昨年に比べると、全体で65人増える見込みです。
・令和6年度:320人
・令和5年度:255人
試験日程
神戸市教員採用試験は6月〜8月にかけて行われています。
出願期間 | 令和5年4月19日(水) ~5月19日(金) |
---|---|
一次試験 | 1日目:令和5年6月24日(土) 2日目:令和5年7月8日(土)~16日(日)の1日 |
二次試験 | 令和5年8月16日(水)~9月3日(日) |
合格発表 | 令和5年10月10日(火) |
神戸市教員採用試験の日程について、詳しくは次の記事でまとめています。
試験科目(種目)
神戸市教員採用試験は、二段階選抜方式で行われます。
まず、一次選考で受験者を篩にかけ人数を絞ります。その後、合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定。
傾向と対策方法は後述しています。ぜひ、参考にしてください。
実施状況
教員人気の低迷が問題視される中、令和3年度には7.5倍という全国3位の高倍率を記録しました。その後は低下傾向にあり、令和6年度には3.5倍まで下落しています。
直近5年間の実施状況は次のとおり。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
令和6年度 | 1,643 | 463 | 3.5 |
令和5年度 | 1,622 | 451 | 3.6 |
令和4年度 | 1,746 | 246 | 7.1 |
令和3年度 | 1,857 | 247 | 7.5 |
令和2年度 | 2,029 | 294 | 6.9 |
神戸市教員採用試験の教科別倍率について、詳しくは次の記事でまとめています。
神戸市教員採用試験の傾向と対策
ここでは、神戸市教員採用試験の傾向や対策方法を解説します。
それぞれ順番に解説するので、参考にしてください。
教職・一般教養
教職・一般教養は、学習指導要領や教育に関する法律などの教師力を測る「教職科目」と、高校までに習った基礎学力を測る「一般教養科目」で構成される筆記試験です。
試験時間 | 50分 |
---|---|
問題数 | 50問 |
出題形式 | 穴埋め問題、正誤問題 |
解答方法 | 択一式(マークシート) |
配点 | 70点満点 |
全校種・教科が同じ問題を解きます。
出題科目
教職教養 | 教育原理、教育法規、教育心理、教育史 | |
---|---|---|
一般教養 | 人文科学 | 国語、英語、音楽、美術、保健体育 |
社会科学 | 日本史、世界史、地理、政治、経済、国際関係、環境 | |
自然科学 | 数学、物理、化学、生物、地学 |
この他、教育時事(学校教育の変化や教育関連のニュースのこと)やICTに関する問題もあります。そのため、文部科学省のホームページを見たり、新聞を読んだりして、普段の生活から情報収集をしておきましょう。
このように教職・一般教養の出題範囲は広いので、どの分野が多くでるのか、どの分野は苦手なのか、出題傾向を理解したうえで勉強することがポイントです。
神戸市教員採用試験の教職・一般教養について、詳しくは次の記事で解説しています。ぜひ、参考にしてください。
専門教科
専門教科は、志望する校種・科目の専門知識や学習指導要領の理解度を測る筆記試験です。
試験時間 | 80分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式 |
配点 | 120点満点 |
指導教科の専門性を問われるので問題レベルが高く、多くの勉強時間が必要という特徴があります。
だいたい、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験で問われるレベルの問題が6割以上を占めています。
配点比率に注意!
神戸市の配点は専門教科:一般教養=120点:70点なので、専門教科で高得点を取ることが重要です。
まずは志望する校種・教科の過去問を解いてみて、現在の実力を確認してみてください。
そして現在の得点から以下のように勉強プランを考えてみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
専門教科を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、手厚く勉強することが大事です。
教科専門の勉強方法について、詳しくは次の記事で解説しています。
集団面接
集団面接は、複数人の受験者が1つのグループになり、与えられたテーマにそって討論する(話し合う)試験です。
試験時間 | 30分 |
---|---|
受験人数 | 5人~6人 |
面接官 | 3人 |
配点 | 120点満点 |
一般的な集団面接にくわえて、テーマに沿ってグループ同士での話し合う集団討議も行われます。
集団面接の流れ
順番に受験番号や氏名を言ってから着席する。
試験内で扱うテーマが発表される。
テーマについて1分間で構想する
テーマに関する自分の考えを1分程度で発表する
周りの考えを聞いた後、もう一度テーマに関して発表する
テーマについてグループで話し合う
面接官の質問に対して順番に回答する
集団面接の質問例
- 子どもたちが幸福感を得るために学校教育でどのような取組をすればいいか話し合ってください。
- 新任教師に求められる役割について話し合ってください。
- 学校でのやりがいについて話し合ってください。
- インクルーシブ教育の推進のために大切なことについて話し合ってください。
- 体罰や不祥事を根絶するためには何が必要かについて話し合ってください。
- 兵庫県ではなく、神戸市を志望する理由を言ってください。
- 「幸せ」をテーマにスピーチをしてください。
- 人生最大のピンチは何ですか。
- 自分の価値観,人生観が変わった経験はありますか。
- 座右の銘を言ってください。
- 友達とケンカしたことはありますか。
- 苦手なタイプの人はどのような人ですか。
- 最近、どこかに旅行で出かけましたか。
- 教師になりたいと思ったきっかけは何ですか。
- あなたのセールスポイントは何ですか
面接官は、同時に複数の受験者をみることができるため、受験者同士を比較して相対的な評価をすることができます。
自分の意見を言うことも大事ですが、他の受験者のことを考えて行うことが求められます。アピールしたいからといって、長々と話さないようにしましょう。
また、自分の発言だけに全集中するのではなく、他の受験者の意見を聞くことや自分の意見が他の受験者にどのように受け止められたのかなど、周りの状況にも注視することも大切です。
実技試験
実技試験とは、教科・科目に関する実践力を備えているのか評価する試験です。
対象校種・教科は以下のとおり。
幼稚園 | ・縄遊び ・ピアノ伴奏と律動 ・表現遊び ・歌と弾き歌い(当日指定) | |
---|---|---|
小学校(英語) | ・英語での簡単なやりとり ・外国語授業の導入部分の模擬授業 | |
中学校・高校 | 音楽 | ・ピアノ演奏「ソナチネ程度の曲」 ・歌唱(伴奏なし)「日本歌曲」 ・アルトリコーダー奏「表現力が求められる曲」 |
美術 | ポリ袋と角材、レモンを構成しデッサン・着色する | |
保健体育 | ・器械運動:マット運動(倒立前転→伸膝前転→前転→側方倒立回転→伸膝後転) ・陸上競技:50m走、50mハードル走 ・球技:バスケットボール(ドリブル、パスからのランニングシュート、リバウンドからのゴール下ジャンプシュート) | |
技術 | 木材加工と電気・電子部品の組み立て ・けがき ・木取、切断、仕上げ ・組み立て、接合 ・回路製作 ・電子部品組み立て | |
家庭 | 小物入れの製作 | |
英語 | ・英作文 ・英語による自己紹介、スピーチ、その他 | |
養護教諭 | ・アナフィラキシー発症時の救急対応 ・心臓蘇生法 |
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
個人面接
個人面接は、志望動機や自己アピールなどを問うことで、あなたが神戸市の教師として相応しいかどうかを評価・判断する人物試験です。
試験時間 | 30分 |
---|---|
面接官 | 3人 |
形式 | 個人面接+場面指導+模擬授業 |
配点 | 300点満点 (実技のある教科は240点) |
個人面接は1人の受験者に対して、集中してチェックできるため、面接官は様々な観点から評価することができます。
また、集団面接とは違い、受験者は自分一人だけなので緊張しやすい形式ですが、他の受験者がいないことから集中でき、自分をアピールしやすいという利点があります。
質問内容
- 長所を活かして、どんな指導ができますか。
- 今、努力していることはありますか。
- あなたの、どこが教員に向いていると思いますか。
- 1分間で自己PRをしてください。
- 教員を志望する理由は何ですか。
- 教員を目指したきっかけは何ですか。
- 授業中に騒ぎ出す児童生徒にはどのように対応しますか。
- 2学期が始まりました。最初の学級での挨拶は何を話しますか。
面接を苦手とする人は多いです。しかし、合格するには避けては通れません。
面接練習をすることで、
- 自分の長所や短所
- なぜ教員になりたいのか
- 教員になって何がしたいのか
といった部分を改めて確認できます。自分と向き合う良い機会なので、時間をかけてじっくり取り組んでいきましょう。
神戸市教員採用試験の個人面接について、詳しくは次の記事で解説しています。
神戸市教員採用試験でよくある質問FAQ
神戸市教員採用試験は難しいのか
神戸市教員採用試験の難易度は、そこまで高くありません。
しかし、筆記試験で点を取れば合格できるのではなく、面接試験などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。
最終合格するのは簡単ではありませんが、きちんと対策すれば受かることは十分可能な試験です。
試験内容と傾向を再確認して、効率よく勉強を始めましょう。
今回は以上です。
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