本記事では、名古屋市教員採用試験に関する下記の内容をまとめています。
- 名古屋市教員採用試験の概要
- 名古屋市教員採用試験の実施状況
- 名古屋市教員採用試験の選考スケジュール
- 名古屋市教員採用試験の内容
試験対策を効率よくできるかどうかは、内容や傾向をどれだけ理解しているかが重要です。
名古屋市教員採用試験について網羅的に理解できますので、ぜひご一読ください。
その他、教員採用試験の内容は下記記事でまとめています。

名古屋市教員採用試験の概要
名古屋市教員採用試験は、名古屋市教育委員会が行う公務員試験の一つです。名古屋市内の公立学校(小学校、中学校、高等学校など)で働く教員を募集するために実施されます。
まずは簡単に試験概要(令和6年度採用)を紹介します。
主な変更点
令和6年度採用(2023年実施)では、以下の変更点や追加があります。
- 大学推薦枠の拡大
-
中学校(技術)、高校(工業)を対象に、大学から推薦された人を対象とした「特例F」を新設する。
- 前年度二次辞退者に対する特別措置
-
令和4年度(2022年度)に実施した名古屋市公立学校教員採用選考試験で1次試験に合格して、2次試験を欠席した人については、令和4年度の1次試験で合格した選考区分・教科で受験する場合に、令和5年度実施の1次試験を免除。
- 「子ども会ボランティアサークル」の活動
-
名古屋市の児童館に「区子ども会ボランティアサークル」として登録(昭和区及び緑区については、区子ども会育成者組織に属するボランティアサークルに登録)し、平成30年度(2018年度)から令和5年度(令和5〈2023〉年5月31日まで)に、子ども会活動を促進することを目的とするボランティアサークルとしての活動期間が通算1年(12か月)以上ある人を対象に、1次試験の「総合教養」の成績に加点する。
求める教師像
教育方針や学校の規模は自治体によって違います。そのため、求められている資質や能力も自治体によって様々です。
当然、志望先に見合った人物でないと採用されることはありません。なので、必ずどんな人物(人間)が求められているのか把握してください。
名古屋市教育委員会では、以下3つの求める教師像を提示しています。
- 専門的な知識と幅広い教養を有する人
- 教育に対する情熱と使命感をもつ人
- 健康な体と豊かな人間性を備えた知・徳・体のバランスのとれた人
「このような人物を求めている」という採用側からのメッセージなので、必ず把握、理解するようにしましょう。
年齢制限(受験資格)
以下の1から3の全てを満たしていることが条件となります。
- 欠格事由(地方公務員法第16条及び学校教育法第9条)に該当しない
- 志望校種,教科に相当する教諭の免許状もしくは養護教諭,栄養教諭の免許状を所有もしくは令和5年3月31日までに取得見込み
- 昭和49年4月2日以降に生まれている
教員採用試験は資格試験と違い、誰でも受験できるわけではありません。
募集教科と採用人数
令和6年度(2023年実施)に採用を予定している校種・教科と人数は以下のとおりです。
校種 | 教科 | R6 | R5 |
---|---|---|---|
小学校 | 200 | 260 | |
中学校 | 国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術、家庭、英語 | 115 | 145 |
高等学校 | 国語、地理・歴史、数学、理科、美術、保健体育、家庭、英語、商業、工業(機械系・情報系・建築系) | 30 | 20 |
特別支援 | 55 | 25 | |
幼稚園教諭 | 若干 | ||
養護教諭 | 15 | 15 | |
栄養教諭 | 若干 | 5 |

昨年に比べると、全体で55人減る見込みです。
・令和6年度:415人
・令和5年度:470人
名古屋市教員採用試験のスケジュール
募集要項の発表から最終合格までのスケジュールは以下のとおりです。
(4月下旬)
募集教科や採用人数、試験種目などの詳細がアナウンスされます。内容変更がある場合もあるので必ず隅々まで確認してください。
(4月下旬~5月上旬)
電子申請(インターネット)による出願申込が始まります。
(7月下旬)
試験内容は総合教養、専門教科、小論文が実施されます。
(8月上旬)
郵送及びホームページに受験番号を掲載。
(8月下旬)
試験内容は、個人面接、集団面接、実技試験が実施されます。
(9月下旬)
郵送及びホームページに受験番号を掲載。
詳細な日程やオススメの併願先などを以下の記事で解説しています。


名古屋市教員採用試験の実施状況
ここでは、過去5年間の実施状況をまとめています。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
令和5年度 | 1,639 | 466 | 3.5 |
令和4年度 | 1,738 | 454 | 3.8 |
令和3年度 | 1,849 | 446 | 4.1 |
令和2年度 | 1,899 | 425 | 4.5 |
平成31年度 | 1,844 | 433 | 4.3 |
教員人気の低迷が問題視される中、名古屋市では平成24年度には6.1倍という高倍率を記録しました。その後は低下傾向にあり、令和5年度には3.5倍まで下落しています。
なお、校種・教科ごとの詳細は以下の記事でまとめているので参考にしてください。


名古屋市教員採用試験の内容
ここでは、名古屋市教員採用試験の傾向を試験ごとにまとめています。
- 総合教養
- 専門教科
- 小論文
- 個人面接
- 集団面接
- 実技試験
それぞれ順番に傾向を解説しているので参考にしてください。
総合教養(教職教養・一般教養)
試験時間 | 40分 |
---|---|
問題数 | 36問程度 |
出題形式 | マークシート |
解答方法 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
学習指導要領や教育に関する法律などの教師力を測る「教職科目」と、高校までに習った基礎学力を測る「一般教養科目」で構成される筆記試験です。
全校種・教科が同じ問題を解きます。
制限時間40分で、36個に解答します。
出題形式は、4~6つの選択肢から正しい(誤りの)肢を選ぶ「択一式(マークシート)」。
試験科目
教職教養 | 教育原理、教育法規 | |
---|---|---|
一般教養 | 人文科学 | 国語、英語 |
社会科学 | 日本史、世界史、地理、政治、経済 | |
自然科学 | 物理、化学、生物、地学 |
その他、*教育時事に関する問題もあります。



*教育時事とは、学校教育の変化や教育関連のニュースのことです!
そのため、文部科学省や教育委員会のホームページを見たり、新聞を読んだりして、普段の生活から情報収集をしておきましょう。
出題範囲は広いので、どの分野が多くでるのか、どの分野は苦手なのかなど出題傾向を理解したうえで勉強することがポイントです。
出題傾向や勉強方法は下記の記事で解説しています。


教科専門
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式、記述式 |
配点 | 50~100点満点 |
教科専門とは、志望する校種・科目の専門知識や学習指導要領の理解度を測る筆記試験のことです。指導教科の専門性を問われるので問題レベルが高く、多くの勉強時間が必要という特徴があります。



だいたい、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験で問われるレベルの問題が6割以上を占めています。
まずは志望する校種・教科の過去問を解いてみて、現在の実力を確認してみてください。そうしないと、何から対策すればいいか判断できません。
現在の得点から以下のように勉強プランを考えてみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
教科専門を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、手厚く勉強することが大事です。


小論文
試験時間 | 50分 |
---|---|
文字数 | 600字程度 |
問題数 | 1題 |
配点 | 100点満点 |
小論文とは、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験のことです。筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
試験時間は全校種共通で50分、文字数制限はありません。



原稿用紙をみると600字程度となります。
テーマ例
「つまずく」という言葉から想定されるテーマを想定し、あなた自身の具体的な体験と教育観とを関わらせて論述しなさい。
小論文は、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
毎年、小論文で評価がもらえずに不合格となる受験者は多いので早めに準備をしてください。
なお、過去のテーマや対策方法は以下の記事でまとめています。


個人面接
試験時間 | 30分 |
---|---|
面接官 | 3人 |
内容 | ①志望動機、教職関連等 ②自己PR、仕事意識等 ③教職に係る質問 |
配点 | A~Eの5段階評価 |
個人面接とは、志望動機や自己アピールなどを問うことで、あなたが名古屋市の教師として相応しいかどうかを評価・判断する人物試験のことです。
個人面接は1人の受験者に対して、集中してチェックできるため、面接官は様々な観点から評価することができます。
また、集団面接とは違い、受験者は自分一人だけなので緊張しやすい形式ですが、他の受験者がいないことから集中でき、自分をアピールしやすいという利点があります。
質問内容
- 緊張していますか。
- 自己アピールをしてください。
- 志望理由は何ですか。
- なぜ名古屋市の教員を志望するのですか。
- 名古屋市の魅力はどこですか。
- 教師を目指したきっかけは何ですか。
- 中央教育審議会の令和3年1月26日の答申の中で、「2020年代を通じて実現すべき令和の日本型学校教育の姿」として掲げられている「個別最適な学び」と「協働的な学び」とは、それぞれどのようなものですか。
- 文科省の示した「学校における」新型コロナウイルス感染症に関する衛生マニュアル~学校の新しい生活様式~」において、学校での「3つの密」の回避のために、どのような対応が必要であるとされていますか。
- 「チームとしての学校」とは、どのような対応が必要であるとされていますか。また「チーム学校」を進めるにあたって、大切なことはなんですか。
面接を苦手とする人は多いです。しかし、合格するには避けては通れません。
面接練習をすることで、
- 自分の長所や短所
- なぜ教員になりたいのか
- 教員になって何がしたいのか
といった部分を改めて確認できます。自分と向き合う良い機会なので、時間をかけてじっくり取り組んでいきましょう。
なお、過去の質問や対策方法は以下の記事で詳しく解説しています。


集団面接
試験時間 | 30分 |
---|---|
受験人数 | 4人 |
面接官 | 2人 |
内容 | 面接+討論+場面指導 |
評価基準 | ○自分の考えをわかりやすく伝えることができるか ○子どもの自己肯定感を高め、よりよく成長させようとする姿勢をもっているか ○他者の意見も聞き、教師として大切なことを考えようとする姿勢があるか ○子どもの状況や心情をふまえ、個に応じた指導をしようとしているか |
集団面接は、複数の受験者が一つのグループとなりテーマに沿って話し合ったり、質問に回答したりする人物試験です。
受験者同士で話し合わせることで受験者の能力や性格を多角的に分析することができます。また、個人面接とは違い相対評価になってしまう点にも注意が必要です。
1グループの人数は4人で、全体を通して30分行われます。
質問内容
- これまでの自分自身の経験を振り返り,『自分が前向きになれた』場面を想起してください。そして,それはどんな場面だったのか,何がきっかけで,『前向きになれたのか』について,一人ずつ発表してください。
- 『子どもたちが前向きになれるようにするために』教師として大切なことは何ですか。他の人の発表や自分自身の体験を基に,理由を含めて,簡潔に意見を述べてください。
- 皆さんは『小学校5年生の担任』です。『学級活動の時間に,二学期の学級の係を決めます。』子ども同士の話し合いの前に,児童が係活動に前向きになれるように,学級全体に話をします。』先ほどの意見交換も参考にして,話す内容を考えてください。こちら側に児童がいると想定し,1分間で話をしてください。
- 『係が決まってしばらくした後,「係の仕事をしても,あまり喜んでもらえないし,やる気がなくなってきた」と,係活動に後ろ向きになってしまった児童がいます。』教師として,どう対応すべきか,意見を出し合ってください。
- 他の受験者のよいところはどこか。
- 他の人の意見を聞いて思うことを述べよ。
- 指導をして逆効果になってしまった子どもへの対応はどうするか。
集団面接では、自分の意見を言うことも大事ですが、他の受験者のことを考えて行うことが求められます。アピールしたいからといって、長々と話さないようにしましょう。
また、自分の発言だけに全集中するのではなく、他の受験者の意見を聞くことや自分の意見が他の受験者にどのように受け止められたのかなど、周りの状況にも注視することが大切です。
詳しい流れやお題などを下記記事でまとめています。参考にしてください。


実技試験
教科・科目に関する実践力を備えているのか評価する試験です。
以下の校種・教科を対象に実施されます。
.png)
.png)
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
名古屋市教員採用試験の対策を始めよう
教員採用試験に合格するのは簡単ではありませんが、きちんと対策すれば受かることは十分可能な試験です。出題傾向を把握して、効率よく勉強を始めましょう。
本サイトでは、名古屋市教員採用試験に関する有益情報を多く発信しています。ぜひ、参考にして合格に少しでも近づいてください。
関連記事
今回は以上です。